ボクシングのWBO世界スーパーフライ級王者・井岡一翔(Ambition)のタトゥー問題が波紋を広げている。2020年12月31日に行った2度目の防衛戦で試合中に井岡の左腕のタトゥーが露出したことが問題視されている。J-CASTニュース編集部は、この問題について協栄ジムの金平桂一郎会長(55)に見解を聞いた。
8回にはテレビ画面越しにもはっきりと...
今回、問題視されているのが試合中に左腕のタトゥーが露出してしまったことだ。通常は専用のファンデーションをタトゥーが入っているところに塗って隠すが、昨年大みそかの試合ではファンデーションが薄かったのか、ラウンドを重ねるごとに左腕のタトゥーが露出し、試合が決した8回にはテレビ画面越しにもはっきりとタトゥーが確認できるほどだった。
日本ボクシングコミッション(JBC)は、ルールの第5章「試合の管理」第4節「試合出場ボクサー」の第86条(欠格事由)で「次の各号に該当するボクサーは、試合に出場することができない」と定めており、その2つ目に「入れ墨など観客に不快の念を与える風体の者」とあり、入れ墨のある者の試合出場を禁じている。
これまでもタトゥーが入った選手は、ファンデーションなどでタトゥーを隠してリングに上がってきた。金平会長の愛弟子であるWBC世界スーパーフライ級王者・佐藤洋太氏(元協栄ジム)もそのひとりで、世界戦ではファンデーションでタトゥーを隠してリングに上がっていた。金平会長は当時のことを次のように振り返った。
「JBCやテレビ局の方からタトゥーが見えないように指導を」
「佐藤選手にはタトゥーが入っていましたので、試合に臨むにあたってJBCやテレビ局の方からタトゥーが見えないように指導を受けました。タトゥーに関してはかなり神経を使った記憶があります。私どもスタッフはしっかりと対応しましたので、タトゥーについて問題が起こるようなことはありませんでした」(金平会長)
井岡の防衛戦を自宅でテレビ観戦したという金平会長は、画面越しに映った井岡の左腕のタトゥーに違和感を覚えたという。金平会長はかねてから井岡がタトゥーを入れていることは認識していたが、今回はタトゥーの上に塗り込まれたファンデーションがこれまでよりも薄いと感じたという。
「実際に生観戦したわけではありませんが、テレビ画面越しに見ていつもよりファンデーションが薄いと思いました。これは意図的なものではないと思います。いくつかの要因が考えられ、そのひとつがコロナ禍で人数が制限された控室での対応だと思います。おそらく通常よりも少ない人数で準備しなければならず、確認作業が十分ではなかったと思います」(金平会長)
また、金平会長は今回の問題に関して「大前提としてルールを厳守する必要がある」とした上で、次のように持論を展開した。
「今回の件に関しては、決して井岡陣営が一方的に悪いとは思いません。井岡選手のタトゥーが露出してしまったのは注意不足と取られても仕方ないでしょう。ただ今回の場合、インスペクターがリングに上がることを許可したのでしょうから、そこは疑問が残ります。JBCによる処分があるのかどうかは分かりませんが、今後の動向に注目しています」(金平会長)