新型コロナウイルス感染拡大による医療体制の逼迫を受け、厚生労働省が看護系の大学に、看護師免許をもつ大学院生や教員を医療機関などへ「派遣するよう要請(要望)」していると2021年1月5日に報じられ、インターネット上で「学徒動員か」などといった声があがっている。
だが、厚労省の担当者は取材に、「『派遣を要望』という趣旨ではない。看護師免許を持つ大学院生や教員が医療機関での勤務を希望した場合、勤務できるように大学側へ配慮をお願いしたもの」と説明する。同省の「お願い」とは、どのようなものだったのか。
ツイッターでは「学徒動員」がトレンドワードに
5日にNHKなどが伝えたところでは、厚労省は全国の看護系の大学約280校に対し、看護師免許をもつ大学院生や教員を医療現場に「派遣」するよう要望。新型コロナウイルス感染症患者を受け入れている医療機関などが対象で、都道府県が指定した「ナースセンター」で登録を受けると調整される。賃金は当該の医療機関や都道府県が支払うという。
「大学院生」の現場への「派遣」という報道で、ツイッターでは「学徒動員」がトレンドワードに。「もはや学徒動員じゃん」「学徒動員来たか」「現場経験がなかったり現場から遠ざかってたら即戦力とはならないだろうに」などと揶揄する声があがっている。
一方、一般社団法人日本看護系大学協議会のウェブサイトには、「看護系大学院」について、
「看護系大学院では、看護師・保健師・助産師として働くなかで感じた疑問や課題を解決するために、必要な研究・実践・教育・管理能力を習得するためのプログラムが多数用意されています」
「大学院へ進学するタイミングについては、基本的に大学卒業後いつでも可能です。ただし、多くの大学院では、受験時に看護師・保健師・助産師として働いた経験が求められる場合もあります」
と説明がある。報じられているのは看護師免許をもっている大学院生・教員という点から、こうしたツイッター上の声に疑義を呈する反応もある。
「『派遣を要望した』という趣旨のものではありません。看護師免許を持つ大学院生や教員の方が医療機関での勤務を希望した場合、勤務できるように大学側へ配慮をお願いしたものです。もちろん(院生を医療機関に勤務させることを)強制できるものでもありません。大学院で学ぶ志の高い方が、学業と両立可能な形で医療機関の支援ができるなら、ご活躍いただければと呼びかけました」
一連の報道について、厚労省医政局看護課の担当者は5日、J-CASTニュースの取材にそう話す。ネットで「学徒動員」などと言われていることについても「そこまでのものでは...」と困惑する。