岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
1月6日を前に緊張高まる首都ワシントン

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「万が一のために、銃を持っていく」

   6日の大規模集会が『ワイルドになるだろう』というのは、どういう意味だと思うか」と、先ほどのトランプ支持者のダニーに尋ねると、「ことがうまくいかなかった場合には、『この国のために戦え』ということかもしれない。万が一のために、僕も銃を持っていく」と、先述のように答えたのだ。ワシントンでは、許可なしに銃を携帯することを禁じている。

   米中西部ウィスコンシン州の小さな町の高校に、私が一年間留学したときの家庭のホストシスターは、私がこの抗議集会の取材のためにワシントン入りすると知ると、「トランプ支持者たちが武器を手に集まり、何をしでかすかわからないと報道されていたのよ。お願いだから行くのはやめて。ホテルも何もかもキャンセルするべき」と、電話で何度も私を引き留めた。

   この会話のあと、ホストシスターが民主党系のネットワーク「MSNBC」のリンクを送ってきた。トランプ大統領のツイートの「Be there, will be wild!」の言葉などが黄色くハイライトされており、「大統領が過激派の支持者らに戒厳令を出すことを示唆し、ワイルドになると約束している」と警告する内容だった。

   また、「暴力的なのはアンティファ(ANTIFA=anti-fascist、人種差別などに対して抗議運動を展開する左派組織)だと非難されるように、トランプ支持者たちがアンティファに変装すると話し合っていた」と報道されていたことにも触れた。

   一方でトランプ支持者側は、アンティファがトランプ支持の「MAGA(Make America Great Again)」の帽子を逆に被り、支持者になりすまし、乱入していると批判してきた。

   2020年暮れ、右派の自警団「プラウド・ボーイズ」がホテル・ハリングトンを行動拠点としていると米有力紙「ワシントン・ポスト」が報道した直後に、同ホテルはトランプ支持者の大規模抗議集会と重なる1月4日から6日の予約をすべてキャンセル。宿泊客や従業員の安全を守るために休業すると発表した。

   2020年11月半ばに行われたトランプ支持者の大集会を私が取材した時も、その前の通りや歩道にもトランプ支持者が溢れていた同ホテルのバーが、夜8時半頃に突如、閉鎖となった。バーの経営者に私が理由を尋ねると、「ソーシャル・ディスタンスなどのコロナ対策が徹底されていないこと」をあげたが、支持者らは「民主党支持者の市長の命令に違いない」と反発。しかし支持者らのほとんどは、「我々は法と秩序を守る」と素直にその指示に従っていた。

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