菅義偉首相は2021年1月4日に開いた年頭記者会見で、新型コロナウイルス対策として首都圏の1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)を対象に「国として、緊急事態宣言の検討に入る」と述べた。発出の時期については明言しなかったが、特に感染リスクが高いと考えられている飲食店を念頭に「限定的に、集中的に行うことが効果的」だとした。
緊急事態宣言は、新型コロナウイルスの感染拡大に備える改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づいて出される。だが、休業補償や、要請や指示に従わなかった際の罰則が定められていないため、実効性を疑問視する声も根強い。これを受けて、菅氏は「給付金と罰則をセットにして、より実効的な対策を取るため」の特措法改正案を通常国会に提出することも表明した。ただ、通常国会の召集は1月18日の見通しで、「補償と罰則」がセットになるのは一定の時間がかかりそうだ。
三が日でも感染者減らずに「より強いメッセージが必要」
歴代首相は恒例行事として年初に伊勢神宮(三重県伊勢市)に参拝し、現地で記者会見を開いてきた。菅氏は新型コロナの影響で参拝を見送り、首相官邸で会見した。
菅氏は、1都3県の飲食店の閉店時間を、現在の22時から20時に前倒すことを要請したことに言及。その上で、
「国として、緊急事態宣言の検討に入る。飲食の感染リスクの軽減を実効的なものにするために、内容を早急に詰める。さらに給付金と罰則をセットにして、より実効的な対策を取るために、特措法を通常国会に提出する」
などと述べ、飲食店の営業時間短縮に向けた「より強いメッセージ」を強調した。
「北海道、大阪など、(飲食店の営業)時間短縮を行った県は、結果が出ている。東京都、いわゆる首都3県においては、三が日も感染者数は減少せずに、きわめて高い水準だ。1都3県で(感染者数に占める割合が)全国の半分という結果が出ている。こうした状況を深刻にとらえて、より強いメッセージが必要である、このように考えた」
「経済への打撃をやわらげるための対策」問われた菅氏は...
事実上の補償にあたるともいえる給付金に関する記者会見での言及は、上記の特措法改正に関する発言のみ。記者の、
「今回検討するにあたって、経済への打撃をやわらげるための対策は、どういったものを考えているのか」
という質問には、菅氏は、
「まずは最優先として行うべきというのは、そうしたウイルスの発生源がかなり多いと言われる飲食、そうしたことを中心にしっかり対応すべきかなと思っている」
と答えるにとどめ、給付金への言及はなかった。営業自粛要請の対象を飲食業にしぼることが「経済への打撃をやわらげるための対策」だと考えている可能性もある。
「色々な経済・文化活動をすべて止めてしまったような(20年4月~5月に出された)緊急事態宣言とは違ったものをイメージしているのか」
という質問には、
「限定的、集中的に行うことが効果的だと思っている」
と応じている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)