2021年、真の「女性活躍」は実現するのか 断念した「20年までに30%」のその後

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   7年8カ月にわたって続いた安倍晋三前政権の看板政策でもあった「女性活躍」だが、その成果は目に見える形で出ているとは言い難い。企業の女性管理職は低水準のままであるうえ、政府は今夏、「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%程度にする」という目標を断念してしまった。

   安倍政権を継承した菅義偉政権では女性閣僚が2人にとどまっており、女性活躍に対する政権の姿勢が問われている。

  • 2021年はどこまで進展があるか
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「4倍に増加」と胸を張るが...

   厚生労働省が2020年夏発表した2019年度の調査によれば、企業の課長級以上の管理職に占める女性の割合は11.9%。前年度からわずか0.1ポイント増えたに過ぎない。

   一方で内閣府は11月、女性の参画状況を公表し、上場企業の女性役員数については、「過去8年間で約4倍に増加した」と評価した。2012年に630人だったのが、2020年には2528人と増えたというのだ。だが冷静に見れば、その比率はようやく6.2%。国際労働機関(ILO)の2019年の報告書によれば、2016年の段階で、役員に占める女性の割合はフランスが3割を超え、先進7カ国(G7)の平均でも2割を軽く超えている。日本の状況は胸を張れるようなものではない。

   民間企業だけでなく、議員に占める女性比率の少なさも深刻だ。管政権の女性閣僚は上川陽子法相と橋本聖子五輪相の2人で、安倍前政権を下回る。男女格差の指標となる世界経済フォーラムの2019年の「ジェンダー・ギャップ指数」を見ると、日本は153カ国中、121位(前年は110位)。中国(106位)やインド(112位)の下に位置するが、この要因は、国会議員の女性比率の低さだと言われている。

   実は、政府は2003年から「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%程度にする」という目標を掲げてきた。当然、達成不能で、今回、公式に白旗を掲げ、「2020年代の可能な限り早期」と先送りする方針を固めたのだ。

菅政権での取り組みは...

   安倍前政権は「女性活躍」の推進を叫んだ。一般にも、基本的に(表向きは)異存はないのに、実際に女性が活躍できる環境が整わないのはなぜか。そこには根深い意識の問題があるとされる。

   ある女性問題の専門家は「『女性はこうあるべきだ』というような、社会的な性差である『ジェンダー』の平等を図ろうという意識が、政府の政策上も、企業の取り組みにもあまりにも欠けている」と指摘する。男女が協力して家事や育児をする環境を作ろうというより、「女性が家事と仕事を両立できるように」という言い方自体が、女性だけにすべてを押しつけようとする今の実態を示しているというのだ。

   別の専門家は「菅政権の女性に関する政策で言えば、不妊治療の保険適用拡大が目玉のようになっているだけで、ジェンダー平等の視点を生かしたものは見えてこない」とする。2021年、真の女性活躍は実現するのか。ハードルの高さばかりが目立つ。

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