米連邦取引委員会(FTC)とニューヨーク州など48州・特別区などが、インターネット交流サイト(SNS)大手の米フェイスブック(FB)が反トラスト法(独占禁止法)に違反しているとして、首都ワシントンの連邦地裁にそれぞれ提訴した。FBによる画像共有アプリ「インスタグラム」や対話アプリ「ワッツアップ」買収が競争を阻害する行為だったとして、両サービスを含む事業売却を命じることなどを求めている。
「当局vsGAFA」の長期戦になる可能性も
米国ではFBにネット検索のグーグル、ネット通販のアマゾン・ドット・コム、コンピュータ・携帯電話のアップルを加えた「GAFA」と呼ばれる巨大IT企業による市場支配への警戒感が強まっており、司法省が2020年10月、グーグルを同法違反で提訴している。今回は、「分割」を明確に求めており、1998年のマイクロソフト(MS)訴訟以来の大型訴訟になりそうだ。
米メディアによると、司法省やFTCなどは、グーグルやFBの追加提訴を検討しているほか、アマゾンの電子商取引サービス「マーケットプレイス」や、アップルのアプリ配信サービス「アップストア」についても反トラスト法違反の調査を続けており、当局による提訴は今後も続く可能性が高い。一方、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、グーグルとFBが、オンライン広告を巡る反トラスト法違反で調査を受けた場合、「相互に協力・支援する」ことで合意していたと報じており、状況は当局vsGAFAの長期戦に突入する様相をみせている。
FBに対する訴状では、FBが2012年にインスタグラムを10億ドルで、2014年にワッツアップを190億ドルで買収したことについて「FBの独占力に対する脅威を無力化する」目的だったと指摘し、インスタグラムとワッツアップを含む事業売却を命じるとともに、新たな企業買収での事前承認の義務づけも求めた。
また、FBが一般のアプリ企業にFBの機能を広く開放する一方、FBを脅かすような競合サービスに対してFBのシステム利用を制限し、競争を阻害し、市場独占を不当に維持してきたとして、競合サービスへのFBシステムの開放を命じるよう求めた。