「人が羨ましくて仕方がない」→本物の「お坊さん」が回答 悩み吐き出す新SNSアプリ「Sion」の狙いを開発者に聞いた

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「人が羨ましくて仕方がない」
「ニートってどうしたらいいの?」
「朝から救急車や現場などいろいろな音で疲れてしまう」

   誰もが日常で感じる小さな悩み、モヤモヤした思い。ささいなことだとしても、時には「誰かに聞いてほしい」と思うこともあるだろう。

   そんな心の声を吐き出すアプリ「Sion(しおん)」が2020年12月8日にリリースされた。

  • お坊さんが悩みを聞くアプリ「Sion(しおん)」(画像はSionより、編集部で一部加工)
    お坊さんが悩みを聞くアプリ「Sion(しおん)」(画像はSionより、編集部で一部加工)
  • お坊さんが悩みを聞くアプリ「Sion(しおん)」(画像はSionより、編集部で一部加工)

お坊さん「まさに今朝、寝坊してしまいました」

   ここでは一般ユーザーが匿名で悩みやモヤモヤした思いを投稿することができる。

   思いをつぶやくという意味ではツイッターと似ているように思えるが、Sionで反応するのは本物の「お坊さん」だけ。反応を希望するユーザーには必ず返信が来るという。

   お坊さんと投稿者でどんなやり取りがされているのか。いくつかの事例を見てみよう。

投稿者:恋愛なんてめんどくさいだけ。なにがいいの
お坊さん:「これは恋愛だ」という名札を一度外してみると、少しだけ気楽になれるかもしれません
投稿者:お坊さんでも自己嫌悪に陥ることってありますか?
お坊さん:おはようございます。まさに今朝、寝坊してしまいました。自己嫌悪に陥ってますね
Sionのアプリ画面内
Sionのアプリ画面(画像はSionより、編集部で一部加工)

   内容は雑談のように軽いものから、少し踏み込んだものまで様々。アプリを開発した、くうる(東京都港区)の代表・武智勝哉さん(32)はSionの目的を次のように話す。

「Sionはお坊さんに答えをもらうのではなく、悩みを聞いてもらうことを目的としたアプリです。吐き出すことでちょっと心が軽くなったらと思います」

開発者「できるだけライトに吐き出せるようにしている」

   投稿は他のユーザーも閲覧可能だが、返信できるのはお坊さんのみ。なぜ、回答者にお坊さんを選んだのだろうか。

「新しい痛みが増え続ける現代で、お坊さんたちも人々の苦しみの全てを知ることができないため、もっと向き合える場所つくりたいと思いました。お坊さんならではの思考術があるのであれば、現代にあったものをその方たちの口で伝えてほしいという思いもあり、力を借りています」

   アプリは会員登録(無料)をせずに投稿することが可能。会員登録すると自分が過去に投稿した内容を閲覧、また自身の投稿を非公開にすることもできる。12月16日夕時点で、会員登録ユーザーは140人、投稿数は299件となっている。

お坊さんが1つ1つに回答(画像はSionより、編集部で一部加工)
お坊さんが1つ1つに回答(画像はSionより、編集部で一部加工)

   参加しているお坊さんの数は16日時点で11人。Sionへの参加を希望するお坊さんには事前に説明会を開き、証明書や所属しているお寺の写真を送ってもらい身分確認をしている。

   投稿は文字数を108字に制限しており「できるだけライトに吐き出せるようにしている」と話す武智さん。しかし時には「今日は死にたい気分です」といった投稿が寄せられることもある。

「それは本当にどこにもつぶやけなかった思いだろうなと思っているので、僕らも真摯に向き合います。『死んじゃダメ』や『仏教的に死んだらこうなるんですよ』とは言わないようにしていて、お坊さんもそれをわかってくれています。
そんな時は『辛いですよね』『心が動いた時やしんどくなった時は、僕らのとこに吐き出してくださいね』というように、仏教の布教チックにならないようにお伝えしています」(武智さん)

   お坊さんのコメントに対して、投稿主や一般ユーザーは返信できない。投稿主の反応がわからないわけだが、お坊さん側はこの活動をどう感じているのだろうか。武智さんに聞くと、

「ツイッターではアプリの画面を撮ってあげている方もいます。それに対して『いいね』が集まるのを見たときに、お坊さんらしいことができたなと小さな満足を感じていただいています」

とのことだった。

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