開発者「できるだけライトに吐き出せるようにしている」
投稿は他のユーザーも閲覧可能だが、返信できるのはお坊さんのみ。なぜ、回答者にお坊さんを選んだのだろうか。
「新しい痛みが増え続ける現代で、お坊さんたちも人々の苦しみの全てを知ることができないため、もっと向き合える場所つくりたいと思いました。お坊さんならではの思考術があるのであれば、現代にあったものをその方たちの口で伝えてほしいという思いもあり、力を借りています」
アプリは会員登録(無料)をせずに投稿することが可能。会員登録すると自分が過去に投稿した内容を閲覧、また自身の投稿を非公開にすることもできる。12月16日夕時点で、会員登録ユーザーは140人、投稿数は299件となっている。
参加しているお坊さんの数は16日時点で11人。Sionへの参加を希望するお坊さんには事前に説明会を開き、証明書や所属しているお寺の写真を送ってもらい身分確認をしている。
投稿は文字数を108字に制限しており「できるだけライトに吐き出せるようにしている」と話す武智さん。しかし時には「今日は死にたい気分です」といった投稿が寄せられることもある。
「それは本当にどこにもつぶやけなかった思いだろうなと思っているので、僕らも真摯に向き合います。『死んじゃダメ』や『仏教的に死んだらこうなるんですよ』とは言わないようにしていて、お坊さんもそれをわかってくれています。
そんな時は『辛いですよね』『心が動いた時やしんどくなった時は、僕らのとこに吐き出してくださいね』というように、仏教の布教チックにならないようにお伝えしています」(武智さん)
お坊さんのコメントに対して、投稿主や一般ユーザーは返信できない。投稿主の反応がわからないわけだが、お坊さん側はこの活動をどう感じているのだろうか。武智さんに聞くと、
「ツイッターではアプリの画面を撮ってあげている方もいます。それに対して『いいね』が集まるのを見たときに、お坊さんらしいことができたなと小さな満足を感じていただいています」
とのことだった。