レトロモダンなパッケージでお馴染みの、アルコールブランド「檸檬堂」。販売するのは日本コカ・コーラ(東京都・渋谷区)で、これが初のアルコール飲料となる。
檸檬堂は2018年5月に九州で限定販売され、19年10月に4種のラインアップで全国展開(沖縄県を除く)、一気に認知度を上げた。九州でのパイロット販売から約2年半で、缶チューハイ市場をけん引するブランドとなったが、なぜこんなにも人々に受け入れられているのだろうか。
J-CASTニュースは20年12月18日、日本コカ・コーラのマーケティング本部アルコールグループシニアマネージャー、パトリック・サブストロームさんにヒット商品誕生の裏側を聞いた。(聞き手・構成:笹木萌、撮影:堀内紘子)
「どうせなら一番消費者のニーズが大きいところに」
そもそも、コカ・コーラはなぜアルコール飲料に参入したのだろうか。
サブストローム:弊社には「世の中のすべての人に爽やかさを届けたい」という大きな理念があり、アルコールへの参入はその中の一つのチャレンジになります。これまではソフトドリンクだけで様々な消費者のニーズに応え、価値提供することを目指してきました。 より広く消費者に爽やかさを届けると考えた時に、アルコール飲料も消費者の生活に密接に関わるセグメントで、そこで価値提供ができるのではないかと考えました。
――アルコール飲料の中でも、レモンサワーを選んだ理由を教えてください。
サブストローム:チューハイやハイボールのように、すぐに飲めるRTDという市場があります。いろいろなブランドがひしめき合っていますが、ほとんどのブランドがレモンフレーバーを必ず持っています。一番競合関係が激しいですが、裏を返すとそれだけニーズがある。最後発での市場参入になるので、どうせなら一番消費者のニーズが大きいところに入ろうと考え、レモンセグメントにフォーカスを当てました。
サントリースピリッツが2020年3月に発表した「RTDに関する消費者飲用実態調査 サントリーRTDレポート2020」によれば、19年のレモンRTD市場は8200万ケース(対前年134%)。10年連続で前年を超え、過去最大の市場規模に成長したとされている。
サブストローム:最初はコスパのいい安いお酒として飲まれていたレモンサワーが、どんどん大衆酒場で人気になり、現代ではお店の方が情熱を持って作っています。1960年代から続くレモンサワーと、現代の飲食店が注力しているこだわり、この2つをRTDで出せれば魅力的な製品になると思いました。
実際にレモンサワーの専門店を開くとしたら――そんなコンセプトの下に生まれた「檸檬堂」。ブランド名は店名をイメージし、「できるだけシンプルで、だれが見てもわかるようにしたい」という思いから名付けられたという。