2020年の大みそかも、年末恒例となる「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」の「笑ってはいけないシリーズ」が放送された。
第18回となる今回のテーマは「絶対に笑ってはいけない大貧民Go Toラスベガス24時」(大みそか番組としての放送は15回目)。ダウンタウン、月亭方正さん(52)、ココリコの5人が「大貧民」に扮し、ラスベガスで人生の一発逆転を狙うという、見る者のテンションがこれでもかと上がりそうなテーマだったが、放送を見た視聴者から「例年ほど面白くなかった」との声が噴出しているのだ。
過去VTRの振り返りに長尺使うが
番組は例年通り、グラウンドに5人が集合し、バスに乗り込み撮影会場に移動するシーンから開始。新型コロナウイルスの流行により、「バスのシーンはない」とする報道もあったが、ちゃんとお約束を踏襲する展開に続き、女優の菅野美穂さん(43)、「新しい地図」の稲垣吾郎さん(47)、俳優の松平健さん(67)ら豪華ゲストが続々と、しかも「ヨゴレ」も辞さない熱演を見せるなど、序盤の盛り上がりぶりに視聴者は大きく沸き立った。
そして、中盤に入ると「ガキベガス」と銘打ったクイズコーナーが開始。同コーナーは他の箇所とは違って笑うことを許可されているコーナーで、競う内容はあくまで「クイズに正解すること」。出題内容は2019年までのシリーズ17回にわたる放送の中から、「この5人の笑いの刺客で一番アウトを取ったのは誰?」といった問題が出題されるなどしたが、当該コーナーが始まるや、「尺長い上にそんなに面白くないクイズ大会」といった声がネット上に噴出してしまったのだ。
最初の「ガキベガス」は放送開始から2時間30分が経過した21時過ぎから始まり、22時前に終了。約1時間となるコーナー中では笑うことを許可された5人がにこやかにトークを繰り広げる様子が時折画面に映るなどしたが、その一方で、クイズを出題するためのVTRは、当然ながらこれまでの放送のワンシーンをつなげたもの。このため、視聴者からは前述のものの他にも、「よう分からんクイズが始まり視聴中止」といったツイートが噴出するなど、「中だるみ」が否めないとする声が相次いでしまったのだ。
第7世代との対決も...
過去17回の放送から集めた「珠玉のコレクション」とでも言うべき出題VTRだったが、「ガキベガス」に対しては、他にも、「過去の映像クイズとかいらんよ」といった声が上がるなど、やはり、コーナーとしての「弱さ」は誰の目にも明らかだった。事実、コーナーに対しては、司会を務めた「千鳥」のノブさん(40)が「(レギュラー出演者の)皆さんだけでは、ちょっと絵が持たない」と5人をイジりつつ、ゲストとして女優の木村文乃さん(33)を登場させるなど、出演者自身がその「弱さ」を自覚していた感は否めない。
また、「ガキベガス」は番組終盤の23時38分頃から23時54分頃にかけても放送されたが、これに対しても、「ガキ使の名シーンクイズの所で寝落ちしてもうた」といった声が上がるなど、同一コーナーを複数回放送したことで放送全体が緩んでしまったとの感想が漏れた。
また、5人と第7世代のお笑い芸人が対決する「下剋上ゲーム対決」のコーナーに対しても「コロナの影響と制作費削減がよくわかる内容やった 捕まってはいけないと驚いてはいけないをカットするのは違う 第7世代とのやり取りもつまらない」といった声が上がるなど、「笑ってはいけないシリーズ」の持ち味が薄まってしまったという感想を抱いた視聴者も多かったようだ。
とはいえ、2020年は「万難を排して」の撮影だった
ただ、2020年の「笑ってはいけないシリーズ」については、やはり、「新型コロナウイルスの流行の中での撮影だった」という点は絶対に見過ごしてはいけない点であろう。
この1点により、これまでの撮影が「密を避ける」という観点からさまざまな制約を受けることになったはずだからである。通常のシーンはもちろん、例えば、2019年でひときわ注目を集めた、松本人志さん(57)の「縄登り」や、俳優の成田凌さん(27)の「逆バンジー」など、「スペクタクルな」シーンはクレーンが出動するなど実に大掛かりな撮影であり、これらと同規模の撮影をするとなると、それだけで関わるスタッフは大きく増えることとなる。番組冒頭でも、主要なスタッフはPCR検査を受けるなど、感染防止への配慮を説明していたが、こうした制約の中ではやむを得ない部分はあるだろう。
そう考えると、この厳しい状況の中でも、万難を排して撮影された「大貧民Go Toラスベガス」が無事放送されたことは、実に意義深いことだったのではないだろうか。事実、視聴者からのツイートの中には、「今年はコロナで色々と演出が難しかったと思うけど、私はすごく笑わせてもらいました」といったものも。暗いムードの2020年を笑いで締めくくってくれた、今回の放送に満足したとする視聴者も大勢いることは揺るぎのない事実だからである。
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)