宮内庁は元旦にあたる2021年1月1日朝、天皇陛下によるビデオメッセージを公表した。例年1月2日に行ってきた新年一般参賀が新型コロナウイルス感染症の影響で21年は中止になったことを受けた措置で、例年1月1日に文書で発表していた、天皇陛下の新年にあたっての「ご感想」も兼ねている。
約7分間にわたるビデオメッセージのうち、その大半がコロナ禍に関する内容。天皇陛下は医療従事者に対して「深い敬意と感謝の意」を表す一方で、「様々な理由により困難な状況に置かれている人々の身の上を案じています」とも話した。さらに、人類は過去に多くの疫病や自然災害を乗り越えてきたとして「安心して暮らせる日が必ずや遠くない将来に来ることを信じ、皆が互いに思いやりを持って、助け合い、支え合いながら進んでいくことを心から願っています」と呼びかけた。
医療従事者に「深い敬意と感謝の意」
天皇陛下によるビデオメッセージは即位後初めて。冒頭で20年7月の豪雨災害に言及したのに続いて、コロナ禍について
「世界各国で、そして日本でも多くの方が亡くなり、大切な方を失われたご家族の皆さんのお悲しみも、いかばかりかと思います」
と言及。医療従事者の活動についても
「大勢の患者さんの命を救うために、日夜献身的に医療活動に力を尽くしてこられていることに、深い敬意と感謝の意を表します」
と述べた。
「感染症の感染拡大防止と社会経済活動の両立の難しさ」にも言及。職や住居を失った人々について「身の上を案じています」とした。その上で、国民に次のように呼びかけた。
「私達人類はこれまで幾度も、恐ろしい疫病や大きな自然災害に見舞われてきました。しかし、そのたびに団結力と忍耐を持って、それらの試練を乗り越えてきたものと思います。今、この難局にあって、人々が将来への確固たる希望を胸に、安心して暮らせる日が必ずや遠くない将来に来ることを信じ、皆が互いに思いやりを持って、助け合い、支え合いながら進んでいくことを心から願っています」