コロナ禍の同人誌即売会を振り返る
しかしそんな「日本のカルチャーの源泉」の重要な一つとも言える同人誌即売会は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で危機に瀕している。
藤末:ネットを通じて、「同人誌即売会が開催されないのは困る」っていう話が来たんですよ。そこで実際に、コミケや即売会を主催する団体が協力するプロジェクト「DOUJIN JAPAN 2020」の方々と打ち合わせさせていただきました。興味深かったのは、「初めて政治家と話した」と伺ったことです。同人誌即売会は、今まで政治や行政などの支援を受けてこなかったと。しかし今回は瀬戸際であるので話を聞いてほしいとのことでお会いいただきました。
そしてお話を伺って、ボランティアで運営されているということ、さらに45年もの歴史があることに驚きました。財政基盤もない中で、「2回続けてイベントを行えなければ力尽きてしまう、来年できなければ終わる」と言っていたんですよ、もう回らないと。おそらく今まで頑張ってきた仲間の気力も持たないし、出展してくださるサークルやファンの方々も持たなくなるのでとにかく開催したいんだ、ということを伺いました。
さらに印象的だったのは、同人誌即売会がなくなってしまうと、それを支えてきた同人印刷会社、イベント警備員の人材派遣会社、机や椅子などの機材レンタル会社が潰れてしまうのではないかという話でした。
例えば机一つとってみても同人誌即売会は特殊で、本を何冊も置けるような頑丈な机を大量に用意できるところでなければならないという。警備や印刷会社も同様で、同人誌即売会の性質やスケジュールなどを理解している企業がイベントを支えてきた。藤末氏はこうした企業からも話を聞いた。
藤末:結論から言うと、とにかく同人誌即売会を再開させるしかなかった。特定の会社や業界への直接の補助金や支援金は不公平感も出てしまうので、とにかくコミケやイベントを開催できるようにして欲しいという声をいただき、「頑張ります」と申し上げました。
こうした声を受けて藤末氏は、何に取り組んだのか。
藤末:文化庁の「文化芸術活動の継続支援事業」における持続化給付金を同人誌で使えるようにしました。これは山田氏と一緒に取り組ませていただきました。あとは、効果は不明ですが同人誌即売会もGoToの対象としました。
J-CASTニュースでも既報(9月18日配信「同人誌即売会も支援事業の補助対象に 全国連絡会が告知、尽力した議員に謝辞も」)の通り藤末氏と山田氏は、文化庁の「文化芸術活動の継続支援事業」において同人誌即売会も、政府による資金的な補助を受けることができると周知した。またコロナ対策を講じた上で、「有料チケット制」で「不特定多数を対象」としていれば、同人誌即売会もGoToイベントの対象となると経産省の担当者に確認し、ツイッター上で報告を行った。