トークから「経済圏」を生み出す... Radiotalk井上社長に聞く、音声配信の2020年とこれから

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配信者からスターが生まれる「3つの段階」

――そうした「こだわりのトーク」が集まるRadiotalkですが、そのコミュニティが支持される理由はどこにあると思いますか?

井上: 支持されてるなんて、めっそうも......。「コンテンツ」より「人」に対して共感する文脈があるなとは思います。リアリティーショーもストーリーの面白さよりも、登場人物に共感して「推し」ができる。単純なクオリティの高さよりも、いかに愛されるか、応援されるかの時代だととらえています。
Radiotalkは、コンテンツを売るのではなくて、配信者がどんな人で、どんなバックボーンを持って、どういう風に感じていて......みたいなところを伝えるサービスです。時代に合って、応援されるべき人が応援されるようなコミュニティができているといいなと思います。

――運営していくうえで、「こういう人が応援されやすい」といった傾向はありますか?

井上: Radiotalkの場合は、自分のクリエイティビティを持っている人ですね。そのまま「こういう出来事があった」と伝えるんじゃなくて、「こう思った」と、その人らしく表現できる。どうやったら面白く聞こえるか、参加してもらえるかな、みたいなことを考えられる人。表現の仕方は様々なんですけど、趣向を凝らした人の方が人気になりやすいですね。リスナー愛の深さも大切です。

――トーカー(配信者)からスターを育成する「Talker PRODUCE」プロジェクトが11月に始まりました。有名人を積極起用する競合他社もあるなか、新たな才能発掘に取り組む理由を教えてください。

井上: Radiotalkが目指しているのは、話すこと、トークというもの自体に経済圏が生まれる状態にして、それを文化として育てていくことです。とした時に、市場をけん引する人が必要で、それは音声から生まれなきゃいけない。YouTubeから生まれたYouTuberが居なかったら、芸能人も注目していなかったでしょうから。

――11月のプロジェクト始動から2か月。すぐに結果が出るものではないと思いますが、なにか出始めていますか。

井上: 全員に再現性があるものではないですが、それまで手元に残る収益がゼロに近かった人が、もう初任給以上、手元に入るようになったケースもあります。こんな短期的に成果が出るってのは、すごく珍しい事例だと思うんですけど。
スターの定義を「他人の人生に影響を与えられる人」だとすると、そこへ行くまでに3段階あると思うんです。最初は職業がトーカーになってる状態。小遣い稼ぎではなく、Radiotalkで収益を立てられる。第2段階が、企業からも信頼され、広告価値が認められること。3段階目が、その人が「しゃべる・話す」をきっかけに人気になった末、音楽やアパレルブランドのように、その人自体が物を作れるし売れる状態。「この人みたいになりたい」と人生に影響を与えるようになれるのが第3段階とした時に、あくまで第1段階の「職業としてラジオトーカーだと言えること」を達成している人が、出てきているということです。
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