芸能人の「政治発言」と、政治家の「インフルエンサー化」の功罪【歳末ネットメディア時評】

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官庁が「名指し」で反論する時代に

   官庁みずからが「名指し」で、マスメディアの報道に反応する事例も増えた。新型コロナウイルスをめぐっては、厚生労働省や内閣官房といったツイッターアカウントが「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)などの報道について、反論コメントを投稿した。

   反論の場にする官庁があれば、PRの手段とするところも。農林水産省の「BUZZ MAFF(ばずまふ)」は、若手職員をYouTuberとして起用し、ほぼ毎日更新されている。コロナ禍以前から投稿はあったが、学校の一斉休校やイベント自粛などで、花卉(かき)類や牛乳などの需要が減った春以降、その「シュールさ」でより話題に。J-CASTニュースも3月、農水省大臣官房広報評価課広報室に取材し、その人気の背景を探っている。

   懐事情を解消するため、ウェブでの収益化を目指す省庁もあった。気象庁は9月、公式サイトに「運用型広告」と呼ばれる、訪問者によって出る広告が変わる仕組みを導入した。発表直後から「いかに不適切な広告をフィルタリングするか」と心配されていたが、導入から1日足らずで掲載停止。その予想は的中してしまう。21年1月にも再開予定だが、不安の声は絶えない。

   芸能人にせよ、政治家にせよ、お役所にせよ、影響力ある立場からの発言は、情報にある程度の「お墨付き」を与えてしまう。しかし、なかには勘違いや思い込み、願望などによるバイアスが含まれていることもありうる。「誰それが言ってるから」と鵜のみにしない心構えが、いままで以上に求められているのだろう。

(J-CASTニュース副編集長 城戸譲)

【J-CASTネットメディア時評】
いまインターネットでは、なにが起きているのか。直近の出来事や、話題になった記事を、ネットメディアの「中の人」が論評します。

城戸譲 J-CASTニュース副編集長
1988年、東京生まれ。大学でジャーナリズムを学び、2013年ジェイ・キャスト新卒入社。Jタウンネット編集長などを経て、18年10月より現職。「ニュースをもっと身近に」をモットーに、政治経済からエンタメ、生活情報、炎上ネタまで、真面目とオモシロの両面で日々アンテナを張っている。ラジオとインターネットが大好き。(Twitter:@zurukid

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