「なぜ領収書がないのに、細かい数字まで書けるのか」
訂正された収支報告書をめぐる疑義も出ている。問題となった収支報告書は、略式起訴の対象となった4年分のうち、保管期限を超えたため廃棄された16年分を除く17~19年分が山口県選挙管理委員会のウェブサイトで公開されている。この内容は20年12月23日付けで訂正され、「前夜祭」の収支が加筆されている。例えば19年分の報告書では、19年4月12日に383万5000円、4月19日に260万4908円を、それぞれ「宴会料等」としてホテルニューオータニの運営会社に支払ったとされている。さらに「別添」として、「領収書等亡失等一覧表」がついており、この2項目が記載されている。つまり、安倍事務所は4月12日と4月19日にニューオータニから受け取った領収書を紛失したということだ。
「領収書等亡失等一覧表」を見た立憲の辻元清美衆院議員が抱いた疑問は「なぜ領収書がないのに、細かい数字まで書けるのか」。辻元氏が立てた仮説は(1)領収書の宛名が公表できない宛名だったから「領収書をなくしている」としている(2)領収書は本当に捨ててしまったが、「裏帳簿」があるので細かい数字まで記載できる、のふたつ。(1)は、仮に宛名が安倍氏が代表を務める政治団体「晋和会」だった場合、晋和会の収支報告書にも記載漏れがあることになり、安倍氏にも刑事責任が及ぶ可能性を念頭に置いている。辻元氏が主に追及したのは(2)だが、安倍氏は事前通告がなかったとして、
「そんなもの(裏帳簿)はない、と認識しております。その上に立ってどうして訂正できたのか、ということなんだろうと思いますが、あの、捜査当局の指摘を受けてですね、このような額に訂正しろ、ということも含めて訂正をしているのだろうと...。今、急にご質問ですから、私の認識の限りでお答えをさせていただいているところでございますが...」
などと答弁するにとどめた。辻元氏は前夜祭の明細書と再発行した領収書を衆院議院運営委員会に提出するよう求めた。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)