岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
「メリー・クリスマス」は禁句になったのか

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学校ではクリスマス・ツリーを飾らなくなった

   私が高校時代に留学した米中西部ウィスコンシン州にある人口2,8 00人の小さな町は、97%が白人だ。そこに住む友人マリー・ジョー(60代)によると、「この町では『メリー・クリスマス』と挨拶する人が今でも圧倒的に多いけれど、店などでは『ハッピー・ホリデーズ』と声をかける人もいる。ポリティカリー・コレクトに配慮しているのだなと思う程度だわ」と言う。

   クリスマスを祝わない家族はほとんどいないだろうと思われるあの町でさえ、そういう意識の人たちがいることに、正直、驚いた。

   電話の向こうで彼女の夫ガーニー(60代)が、「学校ではクリスマス・ツリーを飾らなくなったよ。校舎の前の木をクリスマス用に装飾しているけれどね」と会話に参加してきた。

   電話を切る前に、「ガーニー、メリー・クリスマス」と私が言うと、彼がわざと「ハッピー・ホリデーズ」と答えたので、「ガーニーがポリティカリー・コレクトになってるわ。でも私はクリスチャンよ」と笑った。

   メリー・ジョーやガーニーをはじめ、全米に住む私の友人知人は皆、「ハッピー・ホリデーズ」でも「メリー・クリスマス」でも「どちらでもいい」、「どちらを言われても、嫌な気持ちはしない」と答えた。

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