岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
「メリー・クリスマス」は禁句になったのか

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共和党保守派の「クリスマスに関する戦争」

   12月5日、トランプ大統領は米南東部ジョージア州を訪れ、「メリー・クリスマス」の挨拶について支持者らに語った。

「まずはここにいる皆さん全員に、『メリー・クリスマス』と言わせてくれ。この言葉を覚えているだろうか。5年前に『これからもう一度、クリスマスと口にできるようになる』と私が言ったことを覚えているだろうか。そして誇りを持ってもう一度、口にしようではないか。彼らが再び、その言葉をボキャブラリーから除こうとしても、そうはさせない」

   この発言に対してミシガン州ダナ・ネッセル司法長官が、息子と初めて店に行った際、店員が「メリー・クリスマス」と挨拶した体験について、次のようにツイートした。

「息子はひどくショックを受けた様子で、『クリスマスを祝わないのは僕たちだけなの?』と私に聞いたので、『そうじゃないわ。私たちもみんなと同じようにアメリカ人。ジョー・バイデンはそのことをわかっているわ』と答えたんです」

   ネッセル氏はキリスト教徒ではなく、家族で「メリー・クリスマス」は使わないのだろう。また、民主党支持者のため、バイデン次期大統領は宗教的な多様性を認めているとも言いたかったようだ。

   しかし、このツイートには、「『メリー・クリスマス』という好意的な挨拶に傷付いたというのなら、問題があるのは挨拶した側ではなく、傷付いた側だ」などと批判が殺到。ネッセル氏はのちにツイートを削除した。

   ポリティカリー・コレクト(politically collect)であることを追求し、「メリー・クリスマス」ではなく「ハッピー・ホリデーズ」をよしとすることは、クリスマスを消し去り、米国の文化を破壊することであるとし、トランプ大統領や共和党保守派は、これを「War on Christmas(クリスマスに関する戦争)」と呼んでいる。

   敬虔なクリスチャンであるマット(30代、インディアナ州)は、相手が誰であろうと自分は「メリー・クリスマス」と挨拶し続けると言う。

「Christ(イエス・キリスト)だから、Christmasなんだ。キリストの誕生を祝う、復活祭と並んで最も特別なお祝いだ。holidayはholy day(聖なる日)の意味があることは知っているけれど、Christの存在はかき消されている。他の人が何と挨拶しようと構わないが、僕に『メリー・クリスマス』と言うな、などという権利は、誰にもない」
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