公益社団法人の北海道観光振興機構は2020年12月22日、全国で一時停止する政府の観光需要喚起策「Go To トラベル」について、停止期間後の早期再開と、失われた利益分の補償などを求める要望書を国に提出した。同機構は取材に、「一時停止によって来年を迎えられない事業者も出てくる。休業、廃業、倒産が懸念される」と道内の観光業界の切実な状況を訴えた。
政府はGo To トラベルの再開時期について、年明けに判断する考えを示している。観光庁は取材に「感染拡大をなるべく早く落ち着かせ、(Go To トラベル)事業を早めに再開することが観光関連産業への最大の支援と考えている。引き続き対応する」と話す。
「地域の観光業界がどれだけGo To トラベルの恩恵を受けてきたか」
道内の多くの市町村、観光協会や企業が加盟する北海道観光振興機構。23日のJ-CASTニュースの取材に応じた同機構担当者によると、要望書は22日に観光庁に提出した。内容はGo To トラベルについて(1)1月11日までの一時停止期間終了後の早期再開、(2)一時停止により観光関連産業に生じた逸失利益分など経済的な補償の実施――の大きく2点。
(2)は、Go To トラベルの一時停止が「旅行業、宿泊業、交通運輸業をはじめ、飲食店、土産物店など幅広い観光関連産業への経済的損失となり、個別企業の経営にも深刻なダメージを与える」ことから、「事業主体である国が、その対策として経済的補償を実施願いたい」と求めている。
「この年末年始はもちろん感染拡大を抑えるという大命題があります。ただ同時に、北海道は食と観光が経済のメインです。地域の観光業界がどれだけGo To トラベルの恩恵を被ってきたか。一時停止によって年越しできない事業者も出てきます。休業、廃業、倒産が懸念されています。そうしたことは分かり切っているかもしれませんが、国に要望しました」(前出・同機構担当者)
観光庁の3日の発表によると、Go To トラベルの利用実績は、事業開始の7月22日から11月15日までに約5260万人泊、割引支援額は約3080億円となっている。
そのGo To トラベルの全国一斉一時停止が12月14日に発表されてから、約1週間が経過。この間、同機構の会員からは「大変な状況になっているという声が届いている」という。
「宿泊業ですと、営業をストップしているところもあります。国からの補助をいただいてどうにかつないでいます。新型コロナの感染拡大によって厳しい時期は続いていましたが、Go To トラベルの開始によって上向きに転じていました。それが一時停止でまた一気に沈みました。(来年)2月以降の予約が入らないんです。交通運輸業も、貸切バスの営業がほとんど止まっています。もちろん厳しいのは観光業界だけではないと分かっていますが...」(同)