ボクシングのWBC世界バンタム級暫定王座決定戦が2020年12月19日(日本時間20日)、米コネチカット州で行われ、WBA同級1位レイマート・ガバリョ(フィリピン)がWBC同級4位エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)を2-1の判定で下した。ロドリゲス陣営はこの判定を不服とし、WBCに対して即時再戦を要求する構えだ。
ロドリゲス「リベンジしたい」
暫定王座決定戦は判定までもつれこみ、3人のジャッジのうち2人がガバリョを支持(115-113、116-112)。残り1人は118-110の8ポイント差をつけてロドリゲスを支持した。この試合の結果を速報した米専門メディア「Boxing Scene」は、ガバリョが疑わしいスプリット判定でロドリゲスを下したと報じるなど、関係者の間で物議をかもしている。
ロドリゲスの地元プエルトリコメディア「Primera HORA」(WEB版)は、ロドリゲスのマネジャーであるファン・オレンゴ氏がWBCに即時再戦を要求すると報じている。また、「Primera HORA」によると、ロドリゲスは自身の勝利を信じており、「リベンジしたい」と語っているという。
ロドリゲスは2019年5月にワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)バンタム級準決勝でIBFバンタム級王者として井上尚弥(大橋)と対戦し2回TKO負けを喫し2度目の防衛に失敗した。その後、同年11月のWBCバンタム級挑戦者決定戦に出場を予定していたが、対戦相手のルイス・ネリ(メキシコ)が前日計量で体重を超過したため、試合は中止となった。ロドリゲスは19年5月以来のリングだった。
WBCの対応次第では...
一方、暫定王座を獲得したガバリョは強打がウリのフィリピンのホープで、かつて井上尚弥や元WBC世界バンタム級王者・山中慎介氏のスパーリングパートナーを務め力を付けてきた。これまでビッグネームとの対戦がなく、真価が問われるロドリゲス戦は注目されていた。元世界王者を破ったガバリョは24勝(20KO)で全勝をキープした。
WBCバンタム級タイトル戦は新型コロナウイルスの影響でカード変更を余儀なくされた。当初は正規王者ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)がノニト・ドネア(フィリピン)を相手に防衛戦を予定していたが、ウバーリが新型コロナウイルスの陽性反応を示し、ロドリゲスが代役に抜擢された。ところがドネアも陽性反応を示したことで、ガバリョがドネアの代役として暫定王座決定戦に出場した。
WBC王座は、WBA、IBF世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋)が狙う王座で、その行方に注目されていた。ロドリゲス陣営がWBCに対して正式にアクションを起こせば、即時再戦の可能性もあり、そうなれば休養王者ウバーリとの王座統一戦が先延ばしとなる。WBCの対応次第では状況が大きく変わるだけにその動向に注目される。