「異例」と認めてのスタートだったが
日銀がETF購入を開始したのは10年前の2010年12月。民主党政権の下、白川方明総裁時代で、デフレ脱却が見通せず、景気下振れリスクも高まるという状況でのこと。日銀自身、「中央銀行にとって異例の措置であり、特に、金融資産の買入れは、異例性が強い」と認めての窮余の策だった。
年間4500億円を上限としてスタートしたが、2012年末に第2次安倍晋三政権が発足し、黒田東彦氏が日銀総裁に就任して「アベノミクス」の柱として「異次元緩和」を開始し、その一環として2013年4月にETF購入上限は「年間1兆円」となり、その後は2014年10月に3兆円、2016年7月に6兆円に増額。2020年3月には新型コロナに対応した金融安定化策として、12兆円まで購入を増やせることにした。
安倍政権では日銀と並び、GPIFの資産構成も2014年10月に変更され、国債を減らす一方、日本株の比率を12%から25%に倍増させた。国債に偏った運用では必要な利回りは得られないとの理由だが、日銀と並び「2頭のクジラ」と呼ばれるほどの株の「爆買い」は「官製相場」との批判を招いている。