Go Toトラベル停止でも「100%の料金払ったら泊まれる」 旅館ツイートが思わぬ拡散...「真意」を聞いた

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   「100%の料金払ったら普通に泊まれるらしい」――年末年始の「Go To トラベル」キャンペーン一時停止について、ある旅館のこんなツイッター投稿を機に一大議論が巻き起こった。

   割引なしの正規料金を払えば宿泊できる、というシンプルな内容で、投稿した本人も「こんなに広がるとは思わなかった」と話す。投稿の「真意」を聞いた。

  • Go To トラベルの一時停止発表後のツイートが話題に
    Go To トラベルの一時停止発表後のツイートが話題に
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「ただ思いついたことを投稿しただけで...」

「GoToトラベルが大騒ぎだけど、実は100%の料金払ったら普通に泊まれるらしいよ。ここだけの秘密な」

   「飯坂温泉 鯖湖湯元 なかや旅館」(福島市)が2020年12月15日夜、ツイッターに投稿したのはこんなシンプルな文章だった。投稿は18日時点で13万2000いいねを集め、リプライ390件、引用リツイートは1300件。大論争となっている。

「普通に泊まるのが当たり前の料金ですもんね。旅好き、旅館好きな自分としては今までの料金を払うことに損した感は全くありません」
「空いてていいかもだけどちょっと気が引ける」
「gotoは安くなるってのもあるけど、政府が良いって言ってるなら行こう!みたいな権威主義的な側面もあると思います」
「割引だけが行く理由の人は行かないし、割引なくても行きたい人は行く。ただそれだけの事」
「GoToが停止なだけで旅行禁止になったわけではないというところに後から気付いて対策しっかりできる人は行けばよいと思うってなった」

   Go To トラベルは、宿泊代金の35%割引と、旅行先の登録店舗で使える同15%相当の地域共通クーポンを受けられる。しかし、新型コロナウイルスの新規陽性者数が11月から増加。政府は12月14日、Go To トラベルを28日~21年1月11日の期間、全国一斉に一時停止すると発表した。観光・宿泊業界にとって書き入れ時の年末年始だが、各地でキャンセルが相次いでいる。

   なかや旅館のツイッターを運用する担当者は17日、J-CASTニュースの取材に「そんなに強い思いはなくて、ただ思いついたことを投稿しただけで...」と困惑しながら話す。

「昔からこういう、当たり前のことをわざと小難しく言って『秘密ね』という言い回しの構文がありますよね。一目見て流してもらえればよかったんですけど、(思っていたのと)違う方向に広がってしまったみたいで...」

「人それぞれ旅行について思い描いているものが違っている」

   きっかけは予約客からの問い合わせ。Go To トラベルの一時停止を受け、「泊まりたいのですが、代金を全額払えば泊まれますか?」と聞かれ、「そうですね。宿泊いただけます。感染対策には十分気をつけてください」と答えた。このやり取りでふと、冒頭の投稿を思いついた。

「『ぜひ来てください』というわけでは全然なくて、本当に思いつきの投稿です。ここまで感染が広がってしまうと旅行する雰囲気ではないんだろうなと、報道などを見ても思っていました。もちろん旅館としてはキャンセルが増えたら困るには困りますが、落ち着いたら旅行していただければという思いもあります」

   投稿した本人もこれほど拡散されるとは思っていなかった。次々に届く声は賛成もあれば批判もある。どう受け止めているのか。また、なぜ拡散したと考えるか。

「どちらの意見もその通りだなと思います。ただ投稿した私はそんなに深いことは考えていません。私の投稿に対してどうこうというより、Go To トラベルそのものに対して、皆さん何か思うところがあるのだと思います。私がそう思いたいだけですかね。

人それぞれ旅行について思い描いているものが違っていて、議論が噛み合わないのはそこにあるんじゃないかなと思います。私は割と1人旅が好きなので、誰ともしゃべらず黙々と旅行します。一方、大勢で集まってカラオケするのも旅行の楽しみ方の1つですが、今は難しいですよね。そうした色んな旅行の形がある中で、感染対策をどうしていくべきか考えないといけない。」

一時停止は「致し方ない」

   観光庁は宿泊施設のGo To トラベル参加登録に際して「条件」を付しており、感染対策の徹底(3密回避、消毒・換気など)、旅行者全員の検温・本人確認などが義務付けられている。なかや旅館の宿泊客から新型コロナ陽性者が出たことはない。

   例年には及ばないにせよ、客足は戻りつつあった。年末年始は合計約100人の予約が入っていたが、Go To トラベル一時停止を受け、約半数の50人ほどがキャンセル。それでも一時停止自体は「ここまで感染が広がってしまえば致し方ないと思います。辛いのはみんな一緒です」と受け入れている。

「うちは家族経営の本当に小さい旅館。緊縮財政でやっていけば数か月はやっていけるかな、というところです。ただ、これが旅館業界全体の考えではもちろんありません。何百人と従業員を雇って経営されているホテルなどとは考え方が違うでしょう」

   ツイッターは担当者が思いつくままに投稿してきた。「ゆるめですね。宣伝のためというより、ツイッターの仲間とのやり取りが多いです。ネガティブなことだけは書かないようにしようと思っています。人が行き交う駅前で投稿内容を紙に書いて掲げても大丈夫なくらいの内容にしています」。ただ、拡散を受けて「今は怖くてツイッターを立ち上げられない。もう少し静かになったら、また投稿を再開したいです」と話している。

(J-CASTニュース編集部 青木正典)

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