ボクシングのWBC世界バンタム級暫定王座決定戦が2020年12月19日(日本時間20日)、米コネチカット州で行われる。WBC同級4位エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)とWBA同級1位レイマート・ガバリョ(フィリピン)の間で王座が争われる。約1年7カ月ぶりのリングとなるロドリゲス。フィリピン期待の強打者ガバリョ。どちらの選手が世界バンタム級戦線を勝ち抜くのか注目される。
ガバリョはビッグネームとの対戦ないが...
ロドリゲス、ガバリョ両選手の戦績をみてみると、元IBF王者ロドリゲスは20戦19勝(12KO)1敗でガバリョは23戦全勝(20KO)をマークしている。ロドリゲスの唯一の敗戦は、2019年5月のワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)バンタム級準決勝で井上尚弥(大橋)にTKO負けしたもので、新型コロナウイルスの影響もありロドリゲスはこの試合を最後にリングから遠ざかっていた。
ガバリョのキャリアに目を向けると、プロデビュー以来23連勝を飾っており、20KOの数字が示すように強打の持ち主だ。WBAのランキングでは1位にランクされているものの、これまでビッグネームとの対戦はなく、ロドリゲス戦はガバリョの真価が問われる一戦でもある。ガバリョは過去に来日し、井上や元WBC世界バンタム級王者・山中慎介氏のスパーリングパートナーを務めた経験を持つ。
ボクシングスタイルはともに右のオーソドックスだ。ロドリゲスは好戦的なスタイルで上下の打ち分けに長けた選手である。これまで世界戦のリングに3度上がり2勝1敗。2018年10月のWBSSバンタム級1回戦では、ジェイソン・モロニー(オーストラリア)と対戦し、2-1の僅差判定でIBF王座の初防衛に成功した。その後、2度目の防衛戦で井上に敗れてIBF王座を失った。
「この戦いに大変興奮している」
対するガバリョも好戦的なボクサーだ。ガバリョは遠い距離からも思い切ってパンチを打ってくるタイプで、これまでKOの山を築いてきた。攻撃の際にやや粗さが見られるものの勢いがあり、24歳の若さも脅威となる。過去に井上や山中氏らハイレベルの世界王者とのスパーリングがガバリョの成長を後押ししたようで、世界的に勢いのあるフィリピン勢の注目株となっている。
「el Nuevo Herald」(WEB版)によると、ガバリョは約8カ月間、マイアミを拠点にトレーニングを積んだという。今回はノニト・ドネア(フィリピン)の代役で急きょ暫定王座決定戦のリングに上がることになったが、ガバリョはもともとこの興行の前座に出場する予定だったためコンディション調整は問題なさそうだ。
ガバリョは「この戦いに大変興奮している。相手は非常にタフだが確実に力を発揮して勝てると確信している。私はこの戦いに勝つために最善を尽くします。これまで多くの期間待ったがようやくチャンスが訪れた。フィリピンのファンをがっかりさせたくはない」と語っている。
一方のロドリゲスは対戦相手がドネアからガバリョに変更されたことについて、母国メディア「Primera HORA」のインタビューに次のように答えている。
「ガバリョはノニトとほぼ同じタイプのボクサーなので変更は気にならない。彼は同じようなファイトプランを持っているので、大きな変更や多くの調整を行う必要はありませんでした。私にとって、すべては同じままです」