ボーイング、HP、HSBC、アストラゼネカ、ファイザー...
オーストラリアン紙やメール・オン・サンデーによると、データベースに含まれていたのは、党内の地位、民族、生年月日など。電話番号が書かれている人もいた。62.8%が男性で、98.9%が漢族だった。
「支部」ごとにみると、上海にある少なくとも10の総領事館が、中国政府が運営する人材派遣会社を通じて共産党員を政府関連の上級専門家や経済顧問として雇用。豪州の外務貿易省も、少なくとも5年間にわたって、この人材派遣会社を通じて現地スタッフを雇っていた。
民間企業も多数登場する。ボーイング社には21支部287人、 ヒューレット・パッカード社14支部390人といった具合だ。それ以外にも、英銀行のHSBCに345人、英製薬会社のアストラゼネカに54人、米製薬会社のファイザーは中国の関連会社に69人、といった具合だ。ボーイング社は戦闘機、ヒューレット・パッカードは情報通信機器、アストラゼネカとファイザーは新型コロナウイルスのワクチンを製造。安全保障と密接にリンクする分野だ。
両紙は
「党員リストに名前があった人が中国政府のためにスパイ活動を行ったという証拠はない」
などと前置きする一方で、オーストラリアン紙は、ある情報将校の話として、
「外国大使館や総領事館で働くことが許される共産党員は、いかなる人であっても、潜在的なスパイだ」
と指摘。メール・オン・サンデーも「安全保障上のリスクが起きる」としている。
ただ、オーストラリアン紙がリストに載っていた人に接触したところ、なぜ名前や電話番号がリストに載ったのか分からない、と話す人や、共産党員であったことを否定する人もいたという。リストの正確性をめぐる検証が、さらに必要になりそうだ。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)