90年の歴史「嘉穂劇場」と大衆演劇の今 「不思議と血が騒ぐ」場を守る生き残り策とは

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民間運営を断念

   しかし2020年、嘉穂劇場でも公演中止が相次ぎ、運営するNPO法人「嘉穂劇場」は解散を決めたことが11月30日に報じられた。ただし、劇場そのものが閉鎖されるわけではない。理事長の伊藤英昭さんにも取材を行ったところ「公演中止による収入減と、これからの耐震工事などの維持費をNPOでは担えないと考えて解散を決めました」と答えた。

   劇場は将来的にも耐震補強工事の必要があり、コロナによる収入減に加えてこの修理費の問題もあってNPO解散を決めたそうだ。まだ解散時期は決まっていないが、飯塚市に建物や運営を引き継いでもらう方針で、飯塚市側も了承済みであるものの、市議会の承認などはこれからだと話している。

   嘉穂劇場のような戦前に建てられた劇場は「八千代座」(熊本県山鹿市)や「出石永楽館」(兵庫県豊岡市)などがあるが、いずれも現在は自治体や指定管理者といった公的セクターが運営を担っている。嘉穂劇場はこれまで創業家の伊藤家がずっと切り盛りしていた。「創建から現在までずっと民営で続けてきた劇場は嘉穂だけでしたね」(伊藤さん)とのことだが、地域の文化財として自治体が存続を担うことになりそうである。

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