保育か感染対策か...保育士が抱えるジレンマ 「ある程度の『割り切り』も大事」運営会社のいま

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コロナ禍で失われた「保育実習」の場

(4)保育士の不足

   これからの保育業界が抱える一番大きな課題として、末廣さんが挙げたのは「保育士の不足」だ。

「保育の養成学校や短大を卒業する子たちは、例年7~8月あたりに保育実習を行って、実践力を身につけつつ現場の雰囲気を肌で味わいます。実習生は「自分はやっていけるぞ」という確信を得る一方、逆にふるいに落とされる子もいます。
しかし今年はコロナの影響で実習先がみつからず、実習を受けられない子たちがかなり増える見込みです。来年就職して、仕事が始まってから『思ってたのと違うな』となれば、早期退職につながるので、指導にあたる先生は他の業務もある中で指導方法を変えなければならない、という状況に陥るかもしれません」

   そんな学生たちに実習の機会を与えようと、明日香は8月27日、秋草学園短期大学(埼玉県所沢市)の学生20人を対象に「オンライン保育実習」を実施。保育士のスケジュール公開や、オンラインを通じた園見学を行った。

オンライン保育実習の様子
オンライン保育実習の様子

   参加した実習生が回答したアンケートには、

「現場に行って行う実習が難しい状況で、少しでも現場の雰囲気を感じることができた」
「現場の実習では直接話を聞くことがあまり出来ないけど、オンラインだと話を聞ける時間が多くあるのでいいと思いました」

といった前向きな感想が寄せられている。しかしその一方で、

「実際に体験しないと園の中の雰囲気や 現場で働いている先生方の対応など分からないこともあると考えるため、出来ることなら現場に行って実習はしたい」
「子どもと関わってみないとわからないことや、実際に保育者の援助を目の前で観察しないとわからない部分を学ぶ場なので役に立たないと思います」

というように、「実体験の場には代えられない」と感じる学生もいたようだ。

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