「自殺者の心情をリアルに書いており、このままでは連載ができない」
センシティブな内容だとするnote側の説明に同意する声も出る一方、声優が力作連載を世に問えないことに同情する向きも多い。別の媒体などで連載すればよいとの指摘も出て、出版関係者からはオファーまで来ていた。
この騒ぎを受け、cakesの公式ツイッターは12月10日、多数の批判が届いているとして、「ひとえに、編集部からのコミュニケーションに未熟な点があったことに起因しています」として謝罪した。編集長を交代して体制刷新を進めているとして、「著者と真摯に対話してまいります」と説明した。
noteの加藤貞顕社長も同日、cakesについて、「多様性を重視しつつ、それが大勢のひとに伝わる、編集力を生かしたメディアをつくれたらなと思って始めています。残念ながら、現在の状況はそれができているとはいえません」と認め、声優には大変申し訳なく思っていると明かした。
同社の広報担当者は、J-CASTニュースの取材に対し、声優が準備した連載の中止を打診したのは事実だと認めたうえで、次のように説明した。
「細かなやり取りなどの詳細についてはコメントを控えますが、連載では、自殺当事者の方の心情をリアルに書いておられました。自殺者のご家族や悩みを抱えている方々への影響がありうるとして、10月に、このままでは連載ができないことをお伝えしました。表現を修正することなどを提案しましたが、ご本人が納得できるやり取りができなかったようで、大変申し訳のないことしたと思っています」
現段階でも、cakesでの連載は難しいとしており、今回のことを受けて声優に謝罪し、納得してもらえるよう話し合っているとした。
連載については、あくまでも希望があれば可能なもので、契約で確定したわけではないという。連載が確定したものではない限り、契約上の制限はなく、他の媒体などに載せることには支障はないとしている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)