2020年12月10日、サントリー食品インターナショナルが「クラフトボス」の公式ページで、12月31日にサポート終了を迎える「Adobe Flash」の歴史を詰め込んだオリジナルコンテンツを公開した。
「Flashカルチャーを振り返り、次の"新しい"創作を後押ししたい」
サントリー食品インターナショナルの「クラフトボス」は、ペットボトル入りコーヒーとして2017年に誕生したブランド。今回公開されたスペシャルコンテンツは、「クラフトボス」がペットボトルでゆっくり楽しむというコーヒーの"新しい"スタイルを提案してきたブランドであることから、「"新しい"を生み出してきたFlashカルチャーを振り返り、今後のクリエイターの次の"新しい"創作を後押ししたい」という願いを込めたものであるという。
その公式サイトは「Flash Back Memories」とレインボーのグラデーションがかかったロゴに、サイト訪問者のカウンター(なお「※カウンター故障中」とのただし書きがありカウントは222人目で止まっている)、マウスカーソルがクラフトボスのドット絵に置き換わっているなど、まさにFlashが全盛期を迎えてきた"あの頃"のホームページそのままだ。
『CRAFT BOSS Flash Back Memories』と題された動画では、Flash動画の元ネタとなった「ペリーのお願い」で知られる劇団大人計画の宮崎吐夢さんがナレーターを務める。「開国してくださいよ~」のあの動画だ。
パソコンの前に座った男性が、「クラフトボス」のコーヒーを飲みながらFlash終了のニュースを見てため息を吐くと、ダイヤルアップ接続の音をバックに場面は男性が中学生だった2002年へと巻き戻されていく。
主人公は深夜まで夢中になって"おもしろフラッシュ"にのめり込み、やがて「2ちゃんねる」の顔の見えない仲間たちに励まされながら浪人生活を乗り越え大学生になり、社会人へと成長していく。彼の人生の傍らにはいつもFlash動画があったのだ――。
動画にはFlashアニメ「ゴノレゴ」や「CATMAN」、Flashゲーム「人生オワタの大冒険」「糸通し」など、インターネット文化を彩った作品の数々が登場している。「2ちゃんねる」風の掲示板に張られたURLが「h」抜きであるなど、細かな描写にもこだわりがにじむ。それもそのはず、「インターネットカルチャーに関する有識者の皆様」として、中川淳一郎氏をはじめ、多くの有名ネットメディアの編集者がクレジットされている。
「Flashに青春を覚えるオタクはとりあえずこのリンク踏んでくれ」
この動画を見た人たちからは、「何度見てもいいね、自分の家にも同じ頃にPCが来てネットひいて、んで学生の頃にはどっぷりとフラッシュゲームや動画にハマってた、リア充じゃなかったけど、自分の青春時代のネットよ」「ピーピーガーガーって回線音まで、懐かしい。メモリの量は少なくても、熱量はそれ以上に高かった時代。」「クラフトボスのターゲットって、これまでコーヒーをのまなかった、若いデスクワーカーと聞いた。そういう人って、数年前、Flashの世界を楽しんでたのかもなあ〜少なくとも私はそう」とFlashを楽しんでいた当時を懐かしむコメントが続々と投稿されている。
「あのくそみたいなフラッシュがこんな美談にされる時代が来るとは誰も思ってなかったよ・・・・」「flashがオタクになった原因だし、創作に手を出したのもflashだし......ひとつの原点が終わってしまう......」「ボスのフラッシュのやつ観てなんか泣きそうになった」と、 Flashのサポート終了を惜しむ声も多い。