就職活動のために学生と会社側を結ぶ就活「アプリ」が関係する事件が注目を集めている。警視庁は、就活中の女子大生に乱暴した疑いで30代の会社員の男を再逮捕した(別件で逮捕されていた)。男は「訪問アプリ」を通じて女子大生を誘い出していた。2020年12月3日に発表し、各メディアが報じた。
そんな中、今回の事件とは関係ない、ある就活マッチング支援アプリに対し、12月7日頃から「出会い系アプリ」のようだといった声がインターネット上で相次いでいる。このアプリは、会社の社長(人事決裁者)と学生が会食しながら対話できることをうたっている。運営会社を取材すると、会社側登録にはチェックを行うなど目的外使用ができない仕組みをつくっており、現在までセクハラ被害相談が寄せられたこともない、などと説明した。
「サービス内にて運用上検閲を行っております」
このアプリは、「TUM」(大阪市)が運営している「社長と晩ごはん」。企業経営者(人事決裁者)と学生をマッチングするスマートフォン向けアプリだ。学生に対しては、社長やご馳走してくれる食事のイメージ写真、プロフィールや企業情報が表示され、経営者に対しては毎日朝7時に1~15人の学生のプロフィールと写真が表示される。互いに「会ってみたい!」というボタンをタップしてマッチングした経営者と学生は、晩ごはんのアポに関するメッセージのやり取りができるようになる。そして学生と経営者が実際に対面し、晩ごはんを食べながら本音で話すことで、就職活動に役立てることを目的としているという。
一方で昨今は、就活生へのセクハラ及び性犯罪が社会問題化している。インターネット上では、アプリを通して学生たちがこうした事件に巻き込まれてしまうのではないかと危惧する声があがっている。12月3日には、マッチングアプリを介して「OB訪問」した女子学生に乱暴したとして、リクルートコミュニケーションズの社員が逮捕されたことが各メディア(ウェブ版)で報じられている。
こうした「危惧する声」の延長からか、「社長と晩ごはん」への疑問や不安視する声がネット上であがったことに事に対し、「TUM」の担当者は7日、J-CASTニュースの取材に対しメールで、「利用目的以外のご活用に関してはサービス内にて運用上検閲を行っております」と回答した。