2020年11月30日から放送が始まったNHKの朝ドラ「おちょやん」について、視聴者から以前の朝ドラと比較する声が次々と上がっている。
「おちょやん」は、女優の浪花千栄子(1907-73年)をモデルとした主人公の竹井千代を杉咲花さん(23)が演じるNHK「連続テレビ小説」の第103作目となる作品。大正5年(1916年)、酒に溺れる父親テルヲと暮らす千代(幼少期は毎田暖乃さん演)の元に継母の栗子(宮沢エマさん)が現れ、父と継母の間に子供が出来たために千代は道頓堀に店を構える芝居茶屋に奉公に出されるというところから主人公の人生が展開し始める......というストーリーが、第1週で描かれた。
「わろてんかは吉本で、おちょやんは松竹新喜劇の話だなあ」
なお、12月7日から放送されている第2週では、奉公先での千代の姿が描かれるなどしているが、これらのストーリーを見た視聴者から、かつての朝ドラ「わろてんか」を引き合いに出して、「おちょやん」を論評する声が上がっているのだ。
あるツイッターアカウントは「おちょやん わろてんかと少し時代設定が被ってるんだよね?」と、「わろてんか」の名前を挙げつつ、おちょやんの時代設定について指摘。また、別のアカウントも「わろてんかは吉本で、おちょやんは松竹新喜劇の話だなあ」と、やはり、「わろてんか」を引き合いに出しているのだ。
「わろてんか」は2017年度下半期に放送された第97作目の朝ドラで、吉本興業の創業者である吉本せいをモデルとした主人公・藤岡てんを葵わかなさんが演じたことで知られるが、「おちょやん」のツイートをする際に、これほどまでに「わろてんか」が引き合いに出されるのは、一体どういうことなのだろうか。
時代設定は、確かに近似しており、主人公の属性も似ている
「わろてんか」のストーリーが始まるのは、明治時代の後半。京都の老舗薬問屋に生まれた藤岡てんは、生まれて初めて見た寄席に心を奪われ、それをきっかけとして物語が展開していった。一方の「おちょやん」は、それより少し時代は下るが、その時代は前述の通り大正時代の前半であり、確かに、時代設定は近似しており、また、女性の主人公の立身出世物語という点も共通している。
さらに言うならば、その主人公の「属性」が、両作が似ているとの思いを抱かせるのではないだろうか。「わろてんか」の主人公・藤岡てんは吉本興業の創業者をモデルとした役柄であることは前述したが、「おちょやん」で描かれる浪花千栄子は、さまざまなキャリアを経て松竹新喜劇に所属。松竹といえば古くから吉本興業と双璧をなす興行会社であり、その吉本興業と言えば「吉本新喜劇」の主催会社であるところからして、前述のような「わろてんかは吉本で、おちょやんは松竹新喜劇の話だなあ」といったツイートが出てくるのは実に自然なことだろう。
「松竹風の舞台やけど、ほっしゃんで吉本になっとる」
また、主人公以外の出演者にも「連想」を誘発する要素があるようだ。12月8日に放送された第7回では、劇中劇のシーンで元ほっしゃん。の星田英利さんが、作中で「喜劇界のアドリブ王」と位置付けられる須賀廼家千之助役で出演。星田さんといえばお笑い芸人時代から吉本興業の芸能人として知られており、このため、第7回を見た視聴者からは、「松竹風の舞台やけど、ほっしゃんで吉本になっとる」といったツイートが相次ぐなどした。
まだ、同じく第7回では、演目を伝えるポスターに、板尾創路さんを描いたと思われるイラストが掲載されているのが映るシーンも。板尾さんは「おちょやん」に「喜劇の巨人」と名高い須賀廼家万太郎役で出演することが発表されており、これら、鉄道でいうところの「他社の乗り入れ状態」とでも言うべき配役もまた、「おちょやん」と「わろてんか」が視聴者の頭の中で並んでしまう理由の1つと言って良いだろう。
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)