「感染した人や身近な人同士で支え合える土壌を」
厚労省の今回のSNS企画に対しては、「ここまで『同情するなら金をくれ』という言葉が似合うプロジェクトはないだろう」「誠意は言葉ではなく金額」といった声も。一方でハッシュタグ「#広がれありがとうの輪」を使いながら、「このプロジェクトどうこうは別として、医療従事者の皆様の日々の活躍に感謝しております」「賛否両論ありますが、この春からずっと頑張って頂いてる皆様には何回お礼言ってもいいと思います」と感謝を伝える投稿も少なからずある。
SNS分析ツール「ソーシャルインサイト」のテキストマイニング機能を使い、12月8日からの過去1週間を対象に、特定のワードを含んだツイッター投稿の感情傾向を調べてみた。「#広がれありがとうの輪」は、「ポジティブ」4.4%、「ネガティブ」19.4%(「中立76.1%」)と、後者が前者の4倍以上多かった。
SNS上では感染「第1波」の4月ごろから現在まで、「#医療従事者にエールを」などのハッシュタグが相次いで用いられている。「#医療従事者にエールを」で同じように感情傾向を調べてみると、「ポジティブ」19.0%、「ネガティブ」8.8%(「中立」は72.2%)と、前者が後者の2倍以上多かった。
企画を所管する厚労省新型コロナウイルス感染症対策推進本部広報班の担当者は12月7日、J-CASTニュースの取材に、「『感染症に強い社会』を作っていくと考えた際、厚労省からもお願いしている感染予防の『3密を避ける』『手洗い・うがいの励行』『マスクの着用』などだけではなく、励まし合える社会にならなければ難しいと考えています。社会問題化した自粛警察や感染者に対する誹謗中傷を乗り換え、支え合える社会にしようとこのプロジェクトを始めました」と説明する。
「今まで国からのメッセージは、ポスター、写真、ウェブサイトなどで一方的にお願いする啓発が主でした。それに対して今回は対話型としているように、『#広がれありがとうの輪』のハッシュタグを見てご賛同いただいた方々自身が広められるものです。国民の皆様同士の対話を通じて広まればと考えています。目的はこの言葉が広まり、ギスギスした世の中になるのでなく、感染した人や身近な人同士で支え合える土壌を作っていくことです」
今回のプロジェクトは、「医療従事者だけでなく、身近な人にも『ありがとう』の気持ちを伝えよう」という点を重視。上記「#医療従事者にエールを」といった既出のハッシュタグとは趣旨が異なるという。