シーズンが終わった余韻もさめやらぬ中、来季に向けてプロ野球各球団は早くも始動している。
「フルで出場すれば30本塁打は打つ可能性」
注目されるのが外国人の去就だ。メジャー92本塁打の触れ込みで長距離砲として期待された阪神のジャスティン・ボーアは今季限りで退団が決まった。99試合出場で打率.243、17本塁打。推定年俸2億7500万円と高額だったのもネックになった。満足できる成績とは言い難い。ただ他球団のスコアラーはボーアを高く評価している。
「飛距離は飛び抜けているし、逆方向にも打てる。日本の野球を1年間経験したことで配球を把握し、2年目はもっと打つと思う。甲子園は浜風があるので左打者に不利ですが、他の球場が本拠地だったらフルで出場すれば30本塁打は打つ可能性が十分にあります。大幅減俸になる可能性はありますが、それでもボーアが日本でプレーしたいなら獲得に興味を示す球団はあると思います」
NPBで8年間プレーしたDeNAのホセ・ロペスも来季の構想から外れた。今季は開幕以来調子が上がらず、来日以来最少の81試合出場で打率.246、12本塁打。日米史上初の2000安打を達成したが、DeNAに別れを告げる形となった。ただ、来年は外国人枠から外れて日本人選手と同じ扱いになる。甘い球をスタンドに運ぶパワーは健在。一塁の安定した守備も光る。「チャモさんはこのチームの父親みたいな存在。プレーと言葉でチームを鼓舞していた」とDeNAの選手たちが口をそろえるリーダーシップも持ち合わせている。今季20本塁打以上をマークしたのは村上宗隆のみと長距離砲が不足しているヤクルトなどは獲得を検討する価値が十分にあるだろう。
「衰えは感じない」と評判なのは...
投手に目を移すと、16年に沢村賞を獲得した広島のクリス・ジョンソンが今季限りで退団する。NPBの6年間で2ケタ勝利を4度マーク。新型コロナウイルスの影響で開幕が3カ月遅れた今季は0勝7敗、防御率6.10と大誤算だったが、他球団の編成担当は
「衰えは感じない。直球は速いし、ツーシーム、スライダー、カットボールがきっちり決まればなかなか打てない。新外国人投手は触れ込みが良くても実際に投げて見ないと分からないし、なかなか計算が立たない。ジョンソンは日本での実績十分だし、心身が整えばまだ2ケタ勝てると思う」
と分析する。
他にもDeNAでセットアッパーとして101ホールドをマークしたスペンサー・パットン、日本での来日3年間で打率.316とミート能力が高い中日のソイロ・アルモンテも退団が決まった。NPBで獲得に乗り出す球団は現れるだろうか。