食糧危機の解決策として、世界的に注目を集めている「昆虫食」。日本でもベンチャー企業、大手では良品計画などが参入し、人々の生活に浸透しつつある。
そんな中、敷島製パン(愛知県名古屋市)は2020年12月1日より、コオロギパウダーを使用した「Korogi Cafe(コオロギ カフェ)」シリーズを展開。その第1弾として「コオロギのフィナンシェ」「コオロギのバゲット」を数量限定でオンライン販売している。
大手製パン会社はなぜ昆虫食の参入に踏み切ったのか。J-CASTニュースは12月3日、広報担当者を取材した。
「食べ比べをお楽しみいただきたい」
「世界人口増加に伴い、早ければ2030年頃に世界的なたんぱく質不足が予測されています。その対応として、地球に優しい次世代のたんぱく源候補の一つである昆虫食に着目しました。その中でも、コオロギは育てやすく味が良いことから人気となっています」(広報担当者)
敷島製パンの広報担当者は、昆虫食の導入背景を上記のように語る。
Korogi Cafeシリーズの商品では、高崎経済大学発のベンチャー企業・FUTURENAUT合同会社(群馬県高崎市)が取り扱う食用コオロギパウダーを使用。タイで生産されたヨーロッパイエコオロギのパウダーで、他の品種に比べてクセの少ないさっぱりした味が特徴だという。
「コオロギのフィナンシェ」はコオロギ10匹、もしくは30匹分使用したものが、それぞれ3個ずつ、6個入りのセットになっている。包装には、はっきり「〇匹分のコオロギパウダー入り」と記載されており、担当者は「コオロギパウダー配合量の違いによる食べ比べをお楽しみいただきたい」としている。
筆者もサンプルを試食。見た目はオーソドックスだが、包装に書かれた「30匹分のコオロギパウダー入り」の破壊力がすごい。
断面を見るとわかりやすいが、30匹入りの方が10匹に比べて色が濃くなっている。前者は黒っぽい茶色なので、どうしてもコオロギを思い出してしまうが、味はいたって普通。心なしか30匹の方が甘さ控えめに感じたが、コオロギを食べているような感覚はなかった。
一方、「コオロギのバゲット」に「〇匹分...」の記載はないが、担当者によれば100匹分のコオロギパウダーを使用。リアルなコオロギを想像するとおぞましいが、こちらも味は普通。中はこげ茶がかっていて、どこかおしゃれな印象だ。
発表資料によれば、クラムチャウダーやレバーパテ、トマトソースと合わせて食べるのも良いという。
広報担当者は、Korogi Cafeシリーズを展開することで新たな食に触れる機会や、これからの食を考えるきっかけを提供できたと考える。一方、これからの課題に関しては、
「昆虫食に対して抵抗感を持つ方も少なくないと思いますので、昆虫が食材として受け入れられるためには、抵抗感を取り除いていくことが必要です。そのため製品は、初めての方でも食べていただきやすいよう、パウダー状のコオロギを使用しています」
としている。
Korogi Cafeシリーズの次回商品は1月下旬ごろの発売を予定。
※使用している食用コオロギパウダーは、えびやカニなどの甲殻類と類似した成分が含まれています。えびやカニのアレルギーをお持ちの方はお控えください。