「中国をけん制」の思惑は外れたが... RCEP合意でこれから起きるコト

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「TPP未満、WTO以上」の評価も

   日本の具体的メリットは、中国向け輸出でみると、例えばトラクター(6%)、エンジン関連部品の一部(3%)などの関税が直ちに撤廃される。ただ、電気自動車(EV)向けのモーターなど(10、12%)の撤廃は16年目または21年目など、撤廃までの期間が長いものも目立つ。

   共通ルールは、企業の自由な活動を保護し政府が過度に介入することを阻止するのが目的だ。例えば、中国を念頭に、進出した企業に原材料の現地調達や技術移転を求めることを各国に禁止する規定を設けた。経済産業省によると、中国が結ぶEPAでこの規定が入るのは初めてという。

   世界貿易機関(WTO)における水準に比べると、例えば商標登録の出願が悪意で行われたものである場合、出願を拒絶したり、登録を取り消したりできると規定しているが、これはWTO規定を上回り、TPPにもない規定だ。

   WTOには十分なルールがない電子商取引については、独立した章として規定を設け、例えばサーバーの設置要求を禁止したが、ソフトウェアの設計図である「ソースコード」の開示要求を禁止せず、機密情報を奪われる懸念が残る。また、TPPで規定している国有企業、環境、労働、規制の整合性といった章はRCEPにはないなど、TPPを下回る内容も多い。みずほ総合研究所のリポート(11月30日)は関税撤廃・削減を含め、全体評価として、「TPP未満、WTO以上」と表現しているが、そうした評価が一般的なところだ。

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