『ストリートファイターV チャンピオンシップエディション』を用いて開催されるeスポーツの公式リーグ戦「ストリートファイターリーグ」をご存じだろうか。最高レベルのプロゲーマーたちがチームを組んで3on3で戦う大会で、今年は第3回大会となる「ストリートファイターリーグ Pro-JP 2020」のリーグ戦が先日終了した。リーグ戦上位3チームが2021年1月30日にグランドファイナルを行い、王者が決定する。
多くの選手を短時間で見ることができるのが大きな利点
通常、対戦格闘ゲームを使用したeスポーツの大会は個人参加のトーナメント形式で開催されることが多い。しかもダブルイリミネーション形式と呼ばれ、無敗で勝ち進んだ選手はウィナーズトーナメント、1敗した選手はルーザーズトーナメントに参加し、2敗を喫した時点で大会敗退となる。
キャラクターの相性が勝敗に大きな影響を与える対戦格闘ゲームには非常に適したやり方ではあるが、必然的に試合数が多くなり、大会時間が長くなる傾向がある。この形式の場合、顔が長く映し出される選手は上位数名に限られてしまい、多くの選手が知名度を得にくいという問題があった。
しかし「ストリートファイターリーグ」のようなリーグ戦では比較的試合数が少なく済むため、配信時間も2時間半程度と通常の対戦格闘トーナメントと比較すると圧倒的短時間の番組構成となっていた。
また、1日に3試合が配信される上、「Pro-JP 2020」では1チーム4名構成となっており、うち3名が選手として出場する形式となっていたため、合計24名のプロゲーマーたちの存在をアピールする絶好の機会として機能していた。
選手の顔やキャラクター性を押し出す工夫
番組側もそれを意識してか、毎配信時の選手紹介は非常に力がこもっていた。対戦開始前にはい意気込みを語る画面、対戦画面の脇にはワイプで選手の顔が入れ込まれ、勝利すれば喜ぶ姿がアップで表示され、試合終了後は勝者インタビューと、選手の顔やキャラクター性を前面に押し出す構成となっていた。
eスポーツのファンは人に付く傾向が強い。好きな選手の活躍を喜び、配信を見に行き、よりいっそうファンになっていく。このローテーションを繰り返すことがeスポーツの社会的定着を促す大きな力となっている。「ストリートファイターリーグ」の選手ファーストの姿勢は、この流れに一役買っていると言えるだろう。
(eスポーツライター 早川清一朗)