格闘家の那須川天心(22)が2020年12月3日に放送された「ダウンタウンDX」(日本テレビ系)に出演し、ボクシング転向について言及した。将来的にボクシングに挑戦する意向を示し、転向に備えてボクシングの練習量を増やしていることを明言。転向の時期に関しては明かさなかったが、那須川のボクシング挑戦に格闘技ファンの期待は高まるばかりだ。
「ゆくゆくは挑戦しようと思ってます」
番組内でボクシング転向の噂について問われた那須川は「そうですね、ゆくゆくは挑戦しようと思ってますし、そのためにボクシングのトレーニングをちょっと増やしたりとか」と語り、ボクシング転向の理由については「キック界で敵がなかなかいないので、挑戦を」と自信をのぞかせた。
那須川は以前からボクシングジムで練習を積んでおり、その実力はボクシング関係者から高く評価されている。サウスポースタイルから繰り出される左ストレートはスピード、威力があり、ボクサーとのスパーリングでは決して引けを取ることないという。那須川のボクシング技術に関してはすでに日本トップレベルという声も聞こえてくるほどだ。
日本でプロライセンスを取得するには、日本ボクシングコミッション(JBC)が承認したジムに所属してプロテストを受ける必要がある。那須川の場合、キックボクサーとしての実績が考慮されB級ライセンス(6回戦)からのスタートが見込まれる。年齢的にまだ若く、じっくり育てていくという路線が考えられる一方で、マッチメイク次第では早期に世界ランキングを狙っていくことも可能で、どのような方向性でいくのか注目される。
体格を考慮すると現実的な階級は...
今のところ那須川のボクシング転向時期は不透明だが、気になるのが「ボクサー那須川」の階級だ。那須川はこれまで主に55.0キロから57.15キロでリングに上がっており、これよりもさらに重い契約体重でリングに上がった経験もある。減量の兼ね合いも考慮しなければならないが、ボクシングに転向した際にはキックボクシング時代と同等の階級を選択するとみられる。
那須川の体重をボクシングの階級に当てはめてみると、スーパーバンタム級(55.34キロ)もしくはフェザー級(57.15キロ)になる。さらに上のスーパーフェザー級(58.97キロ)という選択肢も可能性のひとつだが、身長165センチの那須川の体格を考慮すれば厳しく、現実的にはスーパーバンタム級かフェザー級となるだろう。
世界的にみてスーパーバンタム級、フェザー級には実力者が多く、ここに那須川が絡んでくれば盛り上がることは必至だ。世界王者の顔ぶれをみてみると、スーパーバンタム級はプロ8戦目で世界王座を獲得したムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)がWBAとIBF王座を保持。WBCは日本でもおなじみのルイス・ネリ(メキシコ)、WBOはアンジェロ・レオ(米国)が王座に君臨し、ともに無敗を誇る。
WBO王者ナバレッテは2階級制覇の強打者
フェザー級も強豪王者が名を連ねる。WBO王者のエマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)はスーパーバンタム級とフェザー級の2階級を制覇しており、32勝のうち27KOを誇るメキシコのスター選手だ。WBC王者ゲーリー・ラッセルJr(米国)は安定王者で、WBA王者レオ・サンタ・クルス(メキシコ)、IBF王者ジョシュ・ワーリントン(英国)も実力者として知られる。
「モンスター」井上尚弥(大橋)の出現で日本ボクシング界は盛り上がりを見せている。「神童」那須川がボクシング界に参戦すれば、さらに盛り上がるだろう。日本のボクシング界にとっても那須川の存在は大きく、ボクシング転向が待ち遠しいに違いない。「ボクサー那須川」はいつ誕生するのか。夢は大きくふくらむ。