宮城県が認可する同県涌谷町内の涌谷保育園で、運営する社会福祉法人の理事長からパワハラを受けたと訴え、保育士ら職員17人が2020年11月末で退職する事態になっている。
理事長は、「非難を受ける事象はなかった」とパワハラを否定している。県の子育て社会推進室は、園児らのことを考え、認可の基準を満たす保育の継続を求めている。
「大声で怒鳴ったり、特定の職員を無視したりした」
運営法人の理事長は、2015年4月に保育園の園長に就任した。
退職届を出した17人が11月9日に保護者に配った「お詫びとお知らせ」などによると、それ以来、保育士ら職員を大声で怒鳴ったり、特定の職員を無視したりするなどの行為が続いたという。退職する保育士らも相次ぎ、保育士らは19年11月に労働組合を結成し、こうした行為を止めるように訴えた。しかし、理事長は、組合運動をする保育士らを罵倒するなどしたといい、このときも職員17人が20年3月、翌4月末での退職届を提出した。
保護者会も園長の退任を求めたため、理事長は、4月末に園長を退任したが、代わりに施設管理者に就任した。県によると、施設管理者は、一般的に園長と呼ばれることが多いという。その後も状況は変わらなかったといい、17人のうちある保育士は、J-CASTニュースの取材にこう話した。
「6月8日には、副主任が保育士の数が足りないため理事長に配置案を見せたところ、理事長から返事がなく、その後、子供たちがいる前で『誰がOKと言ったか』『勝手なことしましたね』などと大声で叱責していました。また、別の日には、捨て猫を見つけ、理事長に言われて玄関に入れたものの、猫アレルギーの子供もいるとして外に出したところ、『なんで勝手なことするのか』と怒鳴られていました。副主任ら長く在籍する職員3人を中心に理事長のパワハラが続き、それを見た他の職員も精神的に耐えられなくなっていきました」