大和書房から刊行予定の植物解説書『やけに植物に詳しい僕の街のスキマ植物図鑑』が話題を呼んでいる。同書は、国民的マンガ「ドラゴンボール」の主人公・孫悟空を模した口調で植物の知識を紹介する、人気ツイッターアカウントの著書となる。
しかし話題の陰で、「集英社から抗議を受けたらしい」との旨の真偽不明の情報も拡散している。
悟空の正体は...
「オッス、オラ悟空!わかんねぇ木や草があったら、#オラ草が知りてぇ をつけて聞いてくれ!オラたちや地球のみんなが答えてくれるはずだ!」
アカウントは「やけに植物に詳しい悟空」の名で、18年10月に開設された。悟空のようなくだけた口調での植物紹介などが人気を博し、フォロワー数は13万人を超える。
"中の人"の素性は一切不明だったが、2020年11月25日に突如、アカウントを更新していたのは樹木医だったと明かし、12月17日に「瀬尾一樹」名義で初の著書『やけに植物に詳しい僕の街のスキマ植物図鑑』を発売すると発表した。
瀬尾氏名義で出版され、表紙には「Twitterでフォローしてる見知らぬ植物マニア『悟空』さんが、街の中で出会う草花を教えてくれます。ありがてぇぜ!!」などと書かれている。
ファンらからは「予約しました!楽しみに待ってます」などと歓喜の声が多数寄せられた。
「法律上問題ないと判断した範囲内で進めております」
しかし書籍発表後、ツイッターのプロフィール画像だった「悟空」のイラストが消え、「This image has been removed in response to a report from the copyright holder(編集部訳:画像は著作権者からの通報により削除しました)」と表示されるようになった。さらに、本の宣伝ツイートも一部削除された。
そのため、集英社などドラゴンボールの権利関係者が抗議したのでは、との憶測がネット上で広まり、まとめサイトやネットメディアでも取り上げられた。
J-CASTニュースは1日、瀬尾氏と版元に見解を求めると、大和書房が代表で取材に応じ、「弊社や著者宛に、ドラゴンボールの権利関係者から抗議があったという事実はございません」と憶測を否定した。
書籍の編集・販売においては顧問弁護士のチェックを受け、「法律上問題ないと判断した範囲内で進めております。書籍の内容に関しても、一般的な植物ガイド本であり、著作権をおびやかすものではございません」との見解を示した。
プロフィール画像や宣伝投稿の削除については、「権利関係者からの抗議を受けたためではないということ以外、とくにお答えできるものはありません」と答えるにとどめた。画像の削除は、米国のデジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づき、第三者がツイッター社に著作権侵害を申し立てた可能性がある。
集英社ライツ事業部ドラゴンボール室にも抗議の有無を確認すると、「弊社は関知しておらず、対応したということもございません」と回答した。DMCAも「存じ上げない」とする。