アツギのタイツ広告炎上、識者に聞く 発信側に求められる「覚悟」と問うべき「本質」【後編】

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世間に訴える基本価値は何か

「その商品は、何をもって価値となっているのか? 世間に訴える基本価値は何か?そんな根本を探る必要があります。天下のアツギのタイツの根本価値がセクシーにあるとは思えません。一人ひとりの顧客の手に渡った後の価値は、それはお客様次第となります。しかし、企業は公の存在であり、公表する価値は公序良俗に反しない必要があります」

   そして藤島さんは、社内のチェック体制を設けることを提言するとともに、情報を発信する側の「覚悟」も必要だと述べる。安易なウケ狙いの発言をするのではなく、広告で訴える価値観を明らかにし、その想いや根拠を示すべきだという。

   例えば、カネボウ化粧品が2020年7月に公開した「生きるために、化粧をする。」という動画について、藤島さんは企業の意思を感じるという。この動画は、「女性は化粧をしなければならない」というプレッシャーのようなものを感じさせるとしてSNS上を中心に批判された。しかしカネボウ化粧品は、この広告を取り下げなかった。CMと同時に公開されたプレスでは、この広告の意図について「自分の中にある『希望』を引き出す、『生きるために必要』なもの」であると説明している。

「『あなたは何のために化粧をする?』で終わっていれば良かったとの意見もあるでしょうが、『生きるために、化粧をする。』と堂々と答えを披露したことを私は評価しています。強いコピーなので賛否はあるでしょうし、否定的な意見は集まり易いので、炎上と見られてもいるのでしょう。ですが、安易に謝罪や訂正をするのではなく、胸を張って主張を続けて欲しい。次回作は、今回の否定的な意見を払拭する動画になることを期待しています」
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