実写であってもイラストであっても変わらない
日本赤十字社と漫画「宇崎ちゃんは遊びたい!」がコラボレーションした献血キャンペーン、自衛隊滋賀地方協力本部と人気アニメ「ストライクウィッチーズ」がコラボした自衛官募集ポスターなど、昨今は様々なイラスト広告が大きな話題となり、批判にさらされたことがある。こうした背景から萌え絵が不当に攻撃されているのではないかといった声も見られる。
藤本さんは、たしかに「萌え絵」は炎上しやすい側面はあると述べる。
「見慣れた実写広告に比べ、新しいものですから炎上しやすいと思います。イラスト自体が悪いというよりは、目立つのでトリガーになってしまうところはあります」
実写広告などは、同じく性的な目線が内包されていても、女性たちも見慣れてきてしまっているために、見過ごされてしまっている部分も大きい。しかし萌え絵はその新鮮さゆえに、批判が集中してしまう。藤本さんは、萌え絵にとって確かにそれは不当であるとしながらも、いちばんの問題は女性に無遠慮に性的な目線を向けることであり、それは実写であってもイラストであっても変わらない、という。実際に実写広告にも批判は寄せられており、問い直されるべきは、女性表象を一段低い性的な消費対象として見ることで優越的な連帯を感じる、男同士のホモソーシャルな絆のあり方なのだという。
また性的目線を含まないイラストや漫画広告は、一般にも成功を収めている。
「江口寿史のデニーズの広告もアイコン化していますよね。しかもキャラクターグッズは死ぬほど売れていますし、キャラを使ったキャンペーンもあちこちで成功しています。マンガのキャラクターやイラストが街にこんなにあふれている国は他にないです」
【後編に続く】