脱線事故の現場を解説する 近くの踏切では36年前にも...

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   2020年11月23日、19時40分頃、阪急神戸本線六甲駅~御影駅間にある高羽踏切で新開地発大阪梅田行き特急が乗用車と衝突し、先頭車両が脱線した。幸いなことにけが人はいなかったが、普段から利用している路線ということもあり「脱線」と聞き、とても驚いた。今回は事故現場となった高羽踏切はどのような場所か、地元目線で紹介したい。

  • 事故が発生した高羽踏切、北側は急坂になっている。
    事故が発生した高羽踏切、北側は急坂になっている。
  • 阪急神戸本線と並行して2車線の道路がある。
    阪急神戸本線と並行して2車線の道路がある。
  • 1984年5月5日、阪急六甲駅で「六甲事故」が起きた。
    1984年5月5日、阪急六甲駅で「六甲事故」が起きた。
  • 事故が発生した高羽踏切、北側は急坂になっている。
  • 阪急神戸本線と並行して2車線の道路がある。
  • 1984年5月5日、阪急六甲駅で「六甲事故」が起きた。

意外と交通量多い

   阪急神戸本線は大阪梅田駅と神戸三宮駅を結ぶ全長32.3キロの路線であり、阪神間の根幹を成す。事故現場となった高羽踏切は六甲駅(神戸市灘区)~御影駅(東灘区)間にあるが、場所自体は六甲駅から5分程度、東に歩いたところにある。特急は六甲駅には停車せず、時速100キロ程度の高速運転で通過するのが常だ。

   筆者は大学の登下校において幾度ともなく高羽踏切を利用していた。この踏切は南北に位置し、意外と交通量は多い。北側は住宅地が広がり、まっすぐ北へ進むと神戸大学に行き着く。

   踏切の北側は急坂になっている。11月23日付の産経新聞によると踏切に進入した乗用車の運転手は踏切から北側約10mのところに停車。「サイドブレーキが甘かったのかもしれない」と証言しているという。

   ところで事故とは直接関係ないが、踏切の南側は阪急神戸本線と並走して2車線の道路があり、神戸市バスがひっきりなしに走っている。北側から南側へ行くには、踏切と2車線道路を連続して渡る必要がある。踏切を渡る時に「北側から来た車と東西を走る乗用車・バスとの衝突事故が起きるのでは......」と心配することもあった。今回は阪急電車と乗用車の衝突事故ではあったが、もともと事故因子の多い踏切であったとも言える。

三度目がないことを願いたい

   実は阪急六甲駅周辺における鉄道事故は今回が初めてではない。1984年5月5日、阪急神戸本線に乗り入れていた山陽電気鉄道の上り(大阪梅田方面)回送列車が六甲駅構内から本線に出てきたところ、上り特急電車と衝突。回送車4両と特急車3両が脱線し、多数の負傷者を出した。原因は山陽の運転士の信号見落としだった。この事故は通称「六甲事故」と呼ばれ、現在でも語り継がれている。

   偶然にも「六甲事故」から36年経った今年、「六甲事故」が発生した東隣の踏切で事故が起きた。「二度あることは三度ある」というが、事故検証をしっかり行った上で、3度目が起きたいことを願うばかりだ。

(フリーライター 新田浩之)

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