KKRを引き込んだ形
ライバルのアマゾンジャパンは大手スーパーのライフコーポレーションと組んで、生鮮食料品や総菜の宅配サービスを展開しており、生鮮食料品を巡るネットとリアルの融合は大きな潮流だ。自前で通信網を整備して携帯電話事業に参入したばかりの楽天は財務に十分な余力がある状態ではなく、出資のパートナーとしてKKRを引き込んだ形だ。西友の業績が上向けばKKRにもリターンがあり、いずれは楽天がKKRの持ち分を買い取る可能性もある。
一方、かつてセゾングループの中核企業だった西友は2005年にウォルマートの子会社となり、08年に完全子会社となっていた。EDLP(Everyday Low Price)を掲げて、特売期間を設けず、年間を通じて同じ低価格で商品を販売してきたが、ウォルマートによる米国流の手法が独特の商慣習や各地で異なる食文化がある日本には根付かず、事実上の撤退となった。食品スーパー業界そのものは、コロナ下の「巣ごもり需要」の長期化もあって販売は堅調であり、低迷していた西友には起死回生の好機になる可能性もある。