「電車内テレワーク」の候補地は?
なぜJR東日本はこの試みを始めたか。現地で対応した担当者は「当社では現在シェアオフィスの開拓を駅でも進めているのですが、取組みの一環として実証実験を始めました」と話した。様々な検討の結果、自社車両の中でE259系がこの試みに適していると判断されたという。今回の実証実験をもとにありかたを検討する。実用化できるか否かは未定だ。
JR東日本では2019年から駅構内でもシェアオフィス事業を開始している。こちらも「STATION WORK」上で予約できるもので、個室スタイルの「STATION BOOTH」とコワーキングスペースタイプの「STATION DESK」を首都圏主要駅で展開してきた。
E259系と比べてみると、完全個室ブースのSTATION BOOTHは外の喧騒からシャットアウトされるが狭く圧迫感がある。またSTATION DESKは窓がない。程よく外気を感じられ、開放感があるのも鉄道車両のメリットだろうか。
今回は両国駅が選ばれたが、都心で平日データイムに車両を留置できそうな場所は他にもある。上野東京ライン開業で発着列車が減った上野駅地上ホーム(13-17番線)・新宿駅11番線・品川駅8番線・中野駅7番線などが考えられる。これらのターミナル駅では、データイムのホーム運用はラッシュ時より余裕がある。昼間運用に就かない特急車両があれば車庫で昼寝させるより、朝の運用を都心の駅で終えたら車両整備の上でワーキングスペースとして開放してみた方がJR側も収益が上がるのではないか。収入減に直面しているJRにとっては「電車でテレワーク」も需要開拓の一助になる可能性もある。
(J-CASTニュース編集部 大宮高史)