外岡秀俊の「コロナ 21世紀の問い」(27)感染が再拡大した欧州の「いま」と日本の「あす」

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学校では対面授業とオンラインが5割ずつ

   石村さんが勤めるパリ・インターナショナル・スクールは、「国際バカロレア」の(IB)カリキュラムを採用し、幼稚園から高校3年まで70カ国の園児や生徒が学ぶ。

   前に触れたように今回は、高校までの学校は開校するのが原則だ。フランスの国民教育省は最近、各校に通達を出し、コロナ対策の要点を指示した。

   登校時に健康状態をチェックし、授業では生徒間に1メートルの間隔を置き、換気をする。登下校では生徒が集中しないように、学年ごとに時間をずらすなど工夫をする。校内の移動は一方通行とし、マスクを外すのは昼食をとる時に限る。また、オンライン授業は5割までとし、5割は対面にしなければならない。

   基礎疾患がある教員や、65歳以上の教員が勤務する場合には、かかりつけ医師の証明に加え、学校側が依頼する産業医による許可も必要だという。さらに学校では1日2枚、週に10枚のN95微粒子用マスクを、そうした教員に配布する。

   一方、6歳以上の子にはマスク着用が義務づけられており、生徒が忘れた場合には、学校がその生徒にマスクを配る。

   もし生徒がコロナに感染したら、個人を特定できる情報や性別は伏せ、学年と人数だけを全校職員や保護者に伝え、濃厚接触者にのみ個人的に連絡をしてPCR検査を受けさせる。1クラスに3人以上の感染が確認されれば、学級閉鎖にする。

   こうした細かな対策を教えてくれた後、石村さんはこう振り返った。

「一口にいうと、第1回の時に比べ、社会に多少のノウハウが積み重なってきた。初めてのことではないし、冬になれば感染が拡大するという心の備えもあったと思う。閉鎖になったレストランやバーも、最大1万ユーロ(124万円)の補助金や政府補償による家賃の減額に加え、テイクアウトで最低限の稼ぎを補うなど、生き残りに必死だ。あとは、クリスマスまでにどこまで社会活動を再開できるか。それが本当に大きな分かれ目になると思う」
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