ボクシングのバンタム級戦線が混沌としている。WBA、IBF世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋)が主要4団体の王座統一を目指すなか、ターゲットとするWBC、WBO王座に関して動きが出てきた。井上の4団体王座統一路線はどうなるのか。来年中にも達成できるのか。J-CASTニュース編集部は協栄ジムの会長である金平桂一郎会長(55)に今後の展開を占ってもらった。
井上の次戦はIBF指名試合濃厚か...
世界のバンタム級戦線は年末から来春にかけて大きく動こうとしている。井上が狙っている王座のひとつであるWBCは、王者ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)が新型コロナウイルスの陽性反応を示したため、予定していた防衛戦が中止に。このタイトル戦に出場を予定していたノニト・ドネア(フィリピン)が2020年12月19日に元IBF王者エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)と対戦することが決定し、これが王座決定戦になる見通しだ。
一方のWBO王座に関して、海外メディアが王者ジョンリル・カシメロ(フィリピン)とWBAレギュラー王者ギレルモ・リゴンドー(キューバ)の対戦の可能性を報じている。2021年3月もしくは4月開催を目指して両陣営による交渉が行われているという。リゴンドーはWBAのレギュラー王者のため、スーパー王者・井上との対戦の可能性は低いが、WBO王座を獲得すればターゲットのひとりに浮上する。
WBC、WBO王座に動きが見られるなか、井上の現状はどのようになっているのか。井上は王座統一路線を突き進む一方で、現実問題としてクリアしなければならないのがIBFの指名試合だ。同級1位マイケル・ダスマリナス(フィリピン)は1年以上も指名試合を待ち続けており、IBFが井上陣営に次戦でダスマリナスとの指名試合を行うよう指令を下す可能性は決して低くはない。
「井上選手にとってはやっかいな相手となる」
今後のバンタム級戦線はどのような展開をみせるのか。金平会長は現状を踏まえて「井上選手に関してはIBFの指名試合が基本路線になると思います」と指摘した上で次のように言及した。
「現在のバンタム級は井上選手を中心に回っているといっても過言ではないでしょう。ですから井上選手は高みの見物でいいと思います。WBC、WBO王座はそれぞれタイトル戦の可能性がありますし、井上選手は今や選ぶ立場にいる。まずはIBFの指名試合をクリアし、それからでも王座を統一するチャンスがなくなることはないでしょう」
また、金平会長が今後のバンタム級戦線において井上にとって「危険な相手」とみているのがWBAレギュラー王者リゴンドーだ。金平会長はかつてリゴンドーが日本のリングに上がった際にプロモーターを務めた経験もあり、以前からリゴンドーの実力を高く評価している。
「現在のバンタム級のなかで井上選手にとって危険な相手となるのがリゴンドーです。カシメロとのタイトル戦が決まれば本気で勝ちにくるでしょう。WBO王座を獲得すれば井上選手との対戦の可能性が高くなります。リゴンドーはパンチもありますし、スタイル的にやりづらいボクサーです。バンタム級にはタレントが揃っていますが、そのなかでもリゴンドーに対する私の評価は高い。井上選手にとってはやっかいな相手となるでしょう」(金平会長)