自動運転「レベル3」 ホンダの「世界初」、アピールに一役買う国交省の目論見は

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   ホンダは高速道路の渋滞時にドライバーがステアリングホイールから手を離し、携帯電話などの操作もできる「レベル3」の自動運転を実用化した。高級セダン「レジェンド」に搭載し、2020年度内に市販するという。

   ホンダが申請した自動運転システムを国土交通省が審査し、レベル3の安全性と量産を認める「型式指定」を行った。国交省によると、レベル3の自動運転車の量産が認められるのは世界初となる。

  • 国交省はプレスリリースも発表している
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レベル3以上が本格的な自動運転に近づく

   自動運転は国際的に5段階に分かれ、レベル1が自動ブレーキなどの「運転支援」、レベル2が高速道路で車線を維持しながら前のクルマに追走するなど「高度な運転支援」を搭載したクルマを指す。レベル2までは自動運転といっても、ドライバーが前方や周辺の状況を監視する必要があり、自動ブレーキなどのシステムは文字通りドライバーを支援する存在だ。

   ここから先のレベル3以上が本格的な自動運転に近づく。

   レベル3は高速道路など「特定条件下の自動運転」を認められたクルマで、高速道路の渋滞時など限られた条件下では自動運転システムがドライバーに代わって運転する。ただし、高速道路でも条件が整わずシステムが対応できない場合は、これまで通りドライバーが運転する必要がある。

   レベル4以上が「完全自動運転」となり、原則としてドライバーが必要なくなる。今回のホンダのレベル3は、運転支援のレベル2と完全自動運転のレベル4の中間に位置する。

   これまで日欧などの自動車メーカーが実用化したのはレベル2の「高度な運転支援」だ。メルセデス・ベンツは2017年に高速道路で車線を維持するほか、遅いクルマが前方を走っていた場合、ドライバーがウインカーを操作すれば自動的に追い越すなどの運転支援システムを実用化した。ただし、自動的に車線変更して追い越す際もドライバーはステアリングホイールに手を添えていなくてはならなかった。

   日産自動車は2019年9月発売のスカイラインで「ハンズオフ機能」を世界で初めて実用化した。ハンズオフとは高速道路でドライバーがステアリングホイールから手を離しても、クルマが車線に沿って、前のクルマに追走する機能だ。

「レベル3」が持つ重み

   SUBARU(スバル)も2020年10月発売の新型「レヴォーグ」にハンズオフ機能を搭載した。

   レヴォーグのハンズオフは高速道路など自動車専用道路の渋滞時(時速50キロ以下)に限られるが、スカイラインは高速道路の渋滞時だけでなく、制限速度内であれば走行中もハンズオフできる。ただし、いずれもドライバーが前方や周辺の交通状況を監視している必要がある。

   レベル3のホンダレジェンドも、ハンズオフの自動運転は高速道路の渋滞時に限られる。時速30キロ未満でシステムが作動し、50キロまでハンズオフの自動運転が可能だ。

   日産やスバルのレベル2のハンズオフと、ホンダのレベル3の自動運転は似ているが、ホンダのレベル3はドライバーが運転から解放されることになるという意味で、高速道路の渋滞時という限られた条件下だが、「自動運転」を実現したという点で画期的だ。

   国交省は世界初となるホンダのレベル3の型式指定について、「交通事故の削減、高齢者の移動手段の確保など大きな役割を期待できる」と評価している。

   国交省は2020年3月に世界に先駆け自動運転車の保安基準を策定するなど、自動運転の早期実現に向けた制度整備を進めてきた。日本の自動車メーカーが自動運転の分野で世界をリードするのを後押しする狙いがあり、今回のホンダレジェンドについても「世界初のレベル3」を強くアピールしている。

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