「これ、今、ブームになっているんだよ」というフリはNG
まず、鈴木氏はブームの押し付けについては「同調圧力」など、人間の心理の負の側面があるとしつつも、それよりもはるかに大きな要素として、やはり、そのブームで扱われているものが「好きである」という、プラスの感情が大部分であると指摘する。
「自らが好きなものについて話している以上、話している人は、それこそ、『フッとした瞬間』にこのハラスメントを行いがちです。その原因は『自分は知っているが相手はまだ知らない情報を相手に教えて相手を成長させたい』といった相手の成長を願う感情であり、決して悪い感情から発生するものではありません」
確かに、前述の大橋アナは夫に対して、ファイナルシーズンの放送前に「仕上がってほしい」との思いで、「意識的に」押し付けていると話していた。
また、鈴木氏は同時に、その防ぎ方についても説明した。
「だからこそ、この手のハラスメントは『暴発』してしまうわけですが、それを防ぐには、『自らが好きな作品』について、いきなり、『これ、今、ブームになっているんだよ』と話すのではなく、『最近、あなたは何か漫画は読んだ?』といった、一般性の高い質問から始めるのです。それで、相手が『鬼滅の刃』など、その作品の名前を出してきたなら、『あの作品は優れているから、ブームになるのも分かるよね』といった会話を展開するのです。これなら強引さがなくなるのはもちろん、あなたがお目当ての作品名が相手の口から出てこなかったとしたら、そこから、相手がその作品に関心を持っていないと推測できるわけであり、別の話題に転じることで、ハラスメントをしてしまう可能性を未然に排除できるのです」