いかに実効ある計画を練り上げていくか
電源構成は、2019年度(経産省20年11月18日発表)で火力75.8%(前年度比1.2%減)、再生エネ18.0%(1.2%増)、原子力6.2%(横這い)。火力の半分近くが石炭だ。現行のエネルギー基本計画(18年策定)は、30年の電源構成は、再生エネ22~24%、原発20~22%、火力56%としており、これがCO2排出量を「30年に13年比26%減」にするための「裏付け」ということになっている。50年「ゼロ」を実現するためには、従来計画では足りず、大幅な削減積み増しが必要になる。再稼働もままならない原発への依存度をどうするのか、また現状で3割強を占める石炭火力に、30年でもなお26%依存する計画になっており、「脱石炭」の世界の流れに即してどれだけ圧縮するかが焦点だ。
ちなみに、欧州は原発への依存度が高いフランスもあるが、ドイツ、英国、イタリアなどで、すでに再生エネが4割程度に達しており、2050年にこれを81~85%に高めることで「実質ゼロ」を実現する道筋を描く。
自民党内では「原発の新設といったことも検討を進めていくことが重要」(10月27日、世耕弘成・元経産相)など、原発活用を求める声が多いが、世論の反対が根強く、再稼働は遅々として進まない。再生エネ拡大には送電線網の拡充などが課題とされるなど、コストが重くのしかかり、新しい技術開発が一朝一夕に進むはずもない。
こうした難題をこなして、2050年ゼロに向け、いかに実効ある計画を練り上げていくか。目標自体への世論の反応は、「評価する」が68%と、「評価しない」の20%を圧倒(毎日新聞11月7日付朝刊)と好評だ。それだけに、菅首相として国民を失望させられないというプレッシャーかかる。