日本航空(JAL)が出資している中長距離格安航空会社(LCC)の「ZIPAIR(ジップエア)」は2020年11月20日、12月19日から成田とハワイ・ホノルルを結ぶ路線を開設すると発表した。ZIPAIR成田-バンコク(スワンナプーム)、ソウル(仁川)に続く3路線目。
21年1月末にかけて、臨時便として計16往復する。新型コロナウイルスの影響で国際線の需要は落ち込んだままだが、需要回復を見越して開設に踏み切った。
貨物需要が見込める日を中心に16往復
国際線は旅客需要が落ち込んでいるのとは対照的に、貨物需要は堅調だ。ZIPAIRのバンコク、ソウルの2路線は当初は貨物専用便として就航し、後に旅客便としても運航するようになったという経緯がある。ホノルル線は最初から旅客便として運航するが、貨物需要が見込める日を中心に運航日を設定した。
米ハワイ州では、訪問者に義務づけている14日間の自主隔離の緩和を進めており、日本からの訪問者についても、事前に医療機関で陰性証明書を取得すれば自主隔離の対象外になっている。ただ、帰国後は引き続き14日の待機が必要で、ハワイ旅行のハードルは引き続き高い。
ただ、ZIPAIR運航会社の西田真吾社長は記者会見で、
「今はまだ見通せないが、将来、必ずどこかで、需要回復が起きると思っている」
として、路線開設の意義を
「(需要が回復する)『いつ、どこで』という中に、我々の乗り入れる地点がいくつ入っているか、というのが航空会社にとっては非常に重要な経営の課題になる。この確度を高めていく。我々にとって需要回復が見えたその時に、スタートダッシュがどれだけできるか。そういう体制を整えておくのも我々の務め」
などと強調。ZIPAIRは、かつてJALで飛んでいたボーイング787-8型機を2機運航しており、21年度に2機増やして「(北米)西海岸に出せると思って検討している」とした。
年末年始の留学生や駐在員の往来を見込む
西田氏は「なかなか楽観視できるような環境ではないのは事実」としながらも、年末年始に往来が見込まれる留学生や駐在員、その家族の利用を想定している。JALをはじめとする「フルサービスキャリア(FSC)」と呼ばれる航空会社では、年末年始は運賃が高騰するため、西田氏は「誰もが使えるような価格ではないだろう」とみる。対するZIPAIRは、年末年始はJALの「5分の1ぐらいの値段になっている」といい、「新しい選択肢を提示するところに我々が参入する意義がある」などと話した。
乗客にとっては様々な制約がある中での新路線の開設で、ZIPAIRでは(1)成田空港出発時のPCR検査(2)駐車場+お帰り時空港お車お届けサービス(3)帰国後の郵送PCR検査、といったオプションサービスも用意。乗客の反応を反映させながら、21年2月をめどにサービスの内容を変化させていただきたい考えだ。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)