国民民主党の玉木雄一郎代表は2020年11月19日の記者会見で、補償を充実させることを前提に外出制限違反に罰則をつけたり、強制的に施設の利用を制限できるようにしたりして実効性を持たせる法改正を「この国会を延長してでも」行うべきだと主張した。
20年4月から5月にかけて出された緊急事態宣言は、新型コロナウイルスの感染拡大に備える改正特別措置法(新型コロナ特措法)が法的根拠になっている。だが、外出制限は「要請」に過ぎず、実効性に乏しいとの指摘も根強かった。玉木氏は旧・国民民主党時代の4月から日本版「ロックダウン」法案と銘打って特措法の改正を求めてきたが、感染者が急増し、国会議員からも感染者が新たに出たことから、改めて早急な法改正の必要性に言及した。
「財政措置をともなう改正法案であれば、残念ながら我が党では出せないので」
玉木氏は、一連のGoToキャンペーンについて「見直し・検証は不可欠」だとしたう上で「飲食店などへの休業要請やいわゆる時短要請に対して、万全の休業補償を行っていく必要がある」と指摘。その上で、立憲民主党などの協力を得ながら法案提出を目指す考えだ。
「従来から、いわゆる特措法の改正ということを旧・国民民主党の時代から提案してきたが、財政措置をともなう改正法案であれば、残念ながら我が党では出せないので(編注:予算を伴う法案の提出には、衆院では50人以上、参院では20名以上の賛成が必要。国民に所属しているのは衆院7人、参院9人)、これまでいっしょにやってきた旧国民民主党の仲間もいる、立憲民主党などとも協力をして、より財政的な支援を明確にするような法律案、あるいは、例えば、より強制的な行政命令、あるいは立ち入り検査...(ができるような法律を提出したい)」
「他の法律を引っ張ってきて立ち入り検査を無理やりやっているが」...
玉木氏は「今、他の法律を引っ張ってきて立ち入り検査を無理やりやっているが、こういったことを改正する」とも。例に挙げたのが出入国管理及び難民認定法(入管法)だ。日本政府はコロナ対策の一環として大半の外国人の上陸を拒否しており、この法的根拠は入管法の第5条第1項第14号にある「法務大臣において日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」という部分だ。これは主にテロリストへの対応を念頭に設けられた条項で、玉木氏は
「これではなかなか正面から感染の恐れのある国からの人を抑えることができない」
と指摘した。
ただ、法案提出にこぎつけられるかは未知数だ。旧・立憲民主党の枝野幸男代表は5月8日の記者会見で、事実上のロックダウンは災害対策基本法をはじめとする現行法で可能だとの立場で、特措法の改正には否定的な立場。立憲と国民が衆院で同じ会派で活動してきたときも、法案提出に向けた動きは進まなかった。
「我が党にいた後藤祐一さん(衆院議員。旧・国民から合流する形で現在は立憲に所属)なんかは大変理解しているので、何とか立憲内でもご理解を得て、何らかの形の実効性ある措置が講じられるような追加の規定は入れていきたい。本当は行政命令を出して、従わなければ罰則、というのが一番シンプルだが、そうでなくても例えば、明確な法的根拠に基づく立ち入り検査とか、あるいは検査を忌避したら、さすがに罰則を課すことができると思うので、何らかの実効性のある方策を、最後ウンウン知恵をしぼって、なるべく関係政党が納得できる内容として共同提出できればと思っている」
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)