「トランプ大統領就任」祝うためホテル予約
翌日15日朝、トランプ支持者が多く宿泊しているホテルに立ち寄った。
その前で、一緒に来た友達としゃべっていた女性シーシー(60代、フロリダ州ココビーチ)が、「民主党は4年前の大統領選でも、不正をしたわ。アメリカは本来、愛国者の多い赤い国(共和党)なのよ。次期大統領は100%、トランプよ」と言い切る。
2021年1月20日の「トランプ大統領就任」をここワシントンで祝うために、すでにホテルを予約した、という人たちに何人も出会った。
「バイデンが大統領になったら、何のためにワシントンに来るつもり?」と聞くと、彼らの答えは同じだった。
「バイデンが大統領になるわけがない」
「もし、なったら?」
「それはありえないけれど、もしそうなったら、左翼からホワイトハウスを守るために、ワシントンにやってくる」
そばにいた30代くらいの女性が、ホテルの周りを見回して、呆れたようにつぶやいた
「ここはどうして、街中に星条旗がほとんどないの。アメリカの首都なのよ。本来なら、星条旗が溢れているべきでしょう」
次回の連載(2020年11月21日公開予定)では、リベラル系のメディアが「極右の自警団」と呼ぶ「Proud Boys(プラウド・ボーイズ)」と、ワシントンで私が行動をともにした夜について報告する。(随時掲載)
++ 岡田光世プロフィール
おかだ・みつよ 作家・エッセイスト
東京都出身。青山学院大卒、ニューヨーク大学大学院修士号取得。日本の大手新聞社のアメリカ現地紙記者を経て、日本と米国を行き来しながら、米国市民の日常と哀歓を描いている。米中西部で暮らした経験もある。文春文庫のエッセイ「ニューヨークの魔法」シリーズは2007年の第1弾から累計40万部。2019年5月9日刊行のシリーズ第9弾「ニューヨークの魔法は終わらない」で、シリーズが完結。著書はほかに「アメリカの家族」「ニューヨーク日本人教育事情」(ともに岩波新書)などがある。